第11話 話し合い
その後、優衣が作ってくれた朝ご飯を大和が食べ終えると。
「それで大和くん、今日はお家デートということですが、この後は何をして過ごしますか?」
優衣がそんな事を聞いて来たので。
「そうだな、取りあえず最初に明日の予定を決めておこうか、面倒ごとは早く済ませておきたいからな」
大和がそう答えると。
「面倒ごとって……もう、大和くん、付き合いの長い私だから許しますが、デートの予定を組むのにそんな事を言ったら彼女に嫌われてしまいますよ」
優衣は呆れた様子でそう答えたので。
「えっ、あっ、そうだな、すまん」
大和はそう言って謝った。
ただ、大和としては明日遊びに行くのはデートでは無いし優衣は別に彼女ではないと、そう突っ込みを入れたかったのだが。
今そんな事を言うと優衣に本気で怒られそうな気がしたので、その言葉は飲み込んでから。
「それで優衣、明日は何処か行きたい場所はあるか?」
大和がそう聞くと。
「そうですね……私は特にこれといった希望はありませんが、大和くんは何処か行きたい所はあるのですか?」
優衣もそう聞いて来たので。
「いや、俺も特にないな」
大和がそう言うと。
「そうですか、それは少し困りましたね」
優衣がそう答えたので。
「そうだな、俺も優衣も基本的にインドアな性格の人間だから、休日は家でのんびり過ごしているだけで満足できるからな」
大和がそう言うと。
「そうですね、でも、折角の大和くんの誘いを無下にはしたくありませんし……」
優衣は悩まし気な口調でそう言ったので。
「それなら優衣、明日は近場のショッピングセンターに行くか? あそこなら広いし色んな店があるから1日くらい潰せるだろうし、色々見て周っている内にやりたい事も見つかるだろ」
大和がそう提案をすると。
「えっと、私はそれでも良いのですが、大和くんは大丈夫ですか?」
優衣がそんな事を聞いて来たので。
「大丈夫って、何か問題があるのか?」
大和がそう質問をすると。
「あのショッピングセンターは私たちの通っている高校から割と近くにありますし、もしかしたら同学年の方に私たちの事が見られて、昔見たいに色々と学校で言われるかもしれません」
優衣が少し心配そうな口調でそう言ったが。
「まあ確かにそうなる可能性はあるな、でも多分大丈夫だろう、あの頃と比べると周りの人たちも年齢的にも精神的にもそれなりに成長しているだろうから、馬鹿みたいに騒いだりはしないだろうし、何か聞かれても俺たちは幼馴染だから一緒に買い物をしていただけだと言えば、それ以上無茶な追及はしてこないんじゃないか?」
その言葉を聞いた大和はそう答えた。しかし、優衣はまだ不安があるのか、
「それはそうかもしれませんが、でも、もし休日に2人きりで仲良く買い物をしている姿を見られたら、私たちが恋人通しだと勘違いする人も少なからず出て来ると思いますよ」
大和に向けてそんな事を言うと。
「まあ、確かにそうかもしれないな、でも、別に良いんじゃ無いか勘違いされても」
「えっ、どうしてですか?」
優衣がそう聞くと。
「別に俺たちが付き合っているって周りの人たちに勘違いされても、多少周りは騒がしくなるかもしれないけど、昔ほど面倒くさい事が起きると思えないし、それに」
そう言うと大和は一度言葉を切ってから。
「お前に恋人が居ると思われたら男子生徒たちから告白される機会も減るだろうし、優衣にとってもある意味都合がいいんじゃないか?」
大和はそう言ったがその後すぐに。
「ただ、これはあくまで俺の考えで、優衣がどうしても学校の人たちに俺たちの事がバレたくなって思うんならもっと遠出をしても良いけど、優衣はどう思う?」
大和はそう質問をして来て、その言葉を聞いた優衣は一瞬考えた後。
「いえ、私も大和くんの意見には賛成です、告白される機会が減るのでしたら私としてはとてもありがたいですお話です、それに」
そう言って、優衣は一息着いてから。
「もし私たちが実は仲良しだと広まれば、学校でも遠慮なく大和くんとお話ができますから、私としてもそうなった方が嬉しいです」
優衣はそんな事を言ったので、その言葉を聞いた大和は、
「まあその辺がどうなるのかは明日次第だな、色々心配しているけど結局は誰にも見られず学校でもいつも通りって可能性もあるし、ただ、取りあえず明日はショッピングセンターに行くって事で良いんだな?」
優衣に再度確認すると、
「ええ、それで大丈夫ですよ」
優衣はそう答えたので。
「よし、それじゃあ話し合いはここまでにして、後の時間はいつも通り俺の部屋で過ごすか」
大和がそう言うと。
「ええ、そうしましょう」
優衣はそう答え、2人は2階にある大和の部屋へと移動した。
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