第10話 リビングでの一時

 その後、着替えを済ませた大和は1階へ降りて、優衣が台所で朝ご飯を作ってくれているのをリビングでスマートフォンを操作しながら待っていた。そして、


「お待たせしました、大和くん」


 そう言って、優衣が大和の分の朝食を持って来てくれたので。


「ああ、いつも悪いな、優衣」


 大和がそう言うと。


「気にしないで下さい、大和くんに料理を作って上げるのは私が好きでやっている事ですし、大和くんの事をほったらかしにしていたら、大和くんはコンビニ弁当ばかりを食べて体調を崩してしまいそうですから」


 優衣はそんな事を言ったので。


「そうならない様になるべく自炊はするように心がけるから、あまり心配しないでくれ」


 少しバツが悪そうに大和がそう言うと。


「それなら良かったです、でも、もし大和くんが体調を崩したりしたら無理せず私に教えて下さいね、元気になるまで私が大和くんの事を看病してあげますから」


 優衣はそんな事を言ったので。


「さすがにそこまでして貰うのは申し訳ない気がするんだが」


 大和がそう答えると。


「そんなに遠慮しなくても大丈夫ですよ、大和くんに困っている事があれば私がいつでも助けてあげます、ただ、その代わりにもし私が何か困った事になっていたら大和くんに助けて貰えると私はとても嬉しいのですが」


 優衣がそんな事を言ったので。


「俺なんかで力になれる事があれば幾らでも助けてやるよ」


 大和がそう答えると。


「ふふっ、ありがとうございます、大和くんのそういう所が私は好きですよ」


 優衣が唐突にそんな事を言ったので、大和は一瞬思考が止まった後。


「優衣、あんまり人にそんな事を軽々しく言うなよ、お前はただでさえ可愛いんだからそんな勘違いされる様な事を言っていると変な男に目を付けられるぞ」


 大和が少し呆れた口調でそう言うと。


「大丈夫ですよ、大好きなんて言葉は大和くんにしか言いませんから」


 優衣は可愛らしいドヤ顔を浮かべてそう言ったので。


「そうか、それなら優衣は俺に目を付けられる事になるな」


 大和がそう答えると優衣は一瞬黙った後。


「……その、他の男の人は嫌ですが、大和くんが相手なら私は目を付けられても良いですよ」


 頬を少しだけ赤く染ながら優衣がそんな事を言ったので。


「……おう、そうか」


 大和がそう返事をすると。


「……はい、そうです」


 少し間を置いて優衣もそんな事を言った。その後、2人は少しの間黙ってお互いに視線を逸らしていたが。


「……あの、大和くん、そろそろ朝ご飯を食べませんか? 折角の出来立てなのに冷めてしまいますよ」


 優衣がそう言ったので。


「えっ、ああ、そうだな、頂きます」


「ええ、どうぞ、お召し上がりください」


 そう言うと、大和は優衣が準備してくれた目玉焼きをご飯の上に乗せてから。


 醤油をかけて朝ご飯を食べ始めた。


 そして、暫くの間黙って大和が朝ご飯を食べていると。


「そういえば大和くん、今日は家でアニメを観て過ごすのですか、それとも何処かに出掛けるのですか?」


 優衣はそんな事を聞いて来たので、大和は食事の手を止めて。


「そうだな、俺の考えとしては前に言ったように今日はアニメを観つつ何処に行きたいのかを2人で考えて、明日2人で出かけたいと思っているんだけど優衣はどう思う?」


 大和がそう質問をすると。


「ええ、私もそれで良いと思います」


 優衣は大和の意見に賛成したので。


「そうか、それなら今日は家でのんびり過ごすか」


 大和がそう言うと。


「ええ、今日は2人でまったりとお家デートを楽しみましょう」


 可愛らしい笑みを浮かべて優衣はそんな事を言ったので。


「……ああ、そうだな」


 口ではそう言いつつも。


(残念ながらデートでは無いけどな)


 大和は内心そう思いながらも、優衣が嬉しそうだから別に良いかと結論付けて静かに食事を続けた。

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