第4話 運命と書いてフェイトと読む
「優衣が観ていない中で俺が一番面白いと思っているのはこのアニメなのだけど」
そう言って、大和がアニメのタイトルを見せると。
「あっ、このアニメのタイトルは知っています、かなり有名ですし偶にテレビでCMが流れているので」
優衣はそう言ったので。
「まあ、この作品はソシャゲもやっているし、オタクなら絶対に観ておけと言える位には名作だからな、だから優衣にはいつかこのアニメを観せたいと思っていたのだけど、今日観るアニメはこれでいいか?」
大和が優衣にそう質問をすると。
「ええ、勿論いいですよ」
優衣は笑顔を浮かべてそう言ったので。
「それじゃあ早速観るか」
大和はそう言って、アニメの1話を再生した。
そして、2人はアニメを観始めたのだが、優衣は相変らず大和の腕にぴたりと自分の腕を引っ付けて、大和の肩に頭を乗せて観ていたので。
「なあ優衣、その態勢は観づらくないのか?」
大和がそう聞くと。
「いえ、そんな事は無いですよ」
「……そうか」
優衣はそう言ったので、大和は優衣の事は諦めて、意識をアニメに集中する事にした。
そして、2人は黙ってアニメを観ていると。
「ところで大和くん、このアニメはどんな話なのですか?」
優衣はそんな質問をして来たので。
「そうだな、簡単に言うと何でも願いが叶うアイテムを手に入れるために、7人の人間が使い魔みたいな存在を使って優勝を目指して戦うアニメだな」
大和が大雑把にそう説明をすると。
「成程、これはそういうアニメだったんですね、ふふっ」
そんな風に優衣が笑ったので。
「どうかしたのか?」
大和がそう聞くと。
「いえ、大和くんが凄く好きそうな内容だなと思ったので、ちょっとだけ面白かったんです」
優衣はそんな事を言ったので。
「まあ確かに俺からすれば滅茶苦茶好きな話だったけど、俺の話を聞いただけでよく分かったな」
大和がそう答えると。
「分かりますよ、今までどれ位のアニメを大和くんと一緒に観て来たと思っているのですか? お陰でアニメに関する知識も大分増えましたし、大和くんが好そうな話も何となく分かりましたから」
優衣はそんな事を言ったので。
「そうか、悪いな優衣、休日なのにいつも俺の趣味に付き合わせて」
大和がそう言うと。
「謝らなくても良いですよ、大和くんがお勧めしてくれるアニメはどれも面白くて私も楽しく観させて貰っていますから、だから大和くん、これからも休日は今みたいに2人でアニメを観てまったり過ごしましょうね」
大和の肩に自分の頭を乗せたまま、優衣はそう言ったので。
「ああ、そうだな」
大和はそう言った。
その後も2人は時々雑談したり休憩を挟みながらアニメを観て過ごした。そして……
「取りあえず、これで半分は観たし今日はこれ位にしておくか」
「そうですね」
12話を見終わってこの日のアニメ鑑賞は終えた。そして、
「それで優衣、ここまで観ての感想はどうだったか?」
大和が優衣に感想を聞くと。
「そうですね、大和くんがお勧めしてくれただけの事があって凄く面白かったです」
笑顔を浮かべて優衣はそう言ったので。
「そうか、楽しんでくれたのなら良かったよ」
大和もそう答えると。
「ええ、ただ1つだけ不満があって」
優衣はそんな事を言ったので。
「ん、何だ? もしかして本当はそこまで楽しんで観られなかったか?」
大和がそう聞くと。
「いえ、そんな事は無いです、このアニメは今まで大和くんに観せてもらったアニメの中でもかなり面白かったです、ただ」
「ただ、何だ?」
「その、今日はもう時間的に観られないので仕方が無いですが、この後の話しの続きが気になって仕方が無いのです」
優衣はそんな事を言ったので、その言葉を聞いた大和は、
「なんだ、それなら家に帰ってから1人で観たら良いだろ?」
当然の様にそう答えたのだが。
「そういう訳にはいきません、今日は大和くんが分からない所はきちんと解説してくれたので、難しい内容も何となく理解できましたから、それに」
そう言って、優衣は一度言葉を切ると。
「私は大和くんと一緒にアニメを観たいです、他の人がどうなのかは分かりませんが、私は楽しい時間は好きな人と一緒に過ごしたいですから」
「……おう、そうか」
急に好きと言われて大和は内心かなり動揺したが、それを悟られない様に一呼吸置いて気持ちを落ち着かせてから。
「それなら優衣、また来週の休みにでも家で続きを観るか?」
大和がそう提案すると。
「ええ、是非よろしくお願いします!!」
優衣は笑顔でそう答え、特に予定も無かった大和の来週の休みの予定が埋まった。
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