第3話 幼馴染の距離感
その後、大和は優衣が準備してくれた朝ご飯を食べ終えると、自分が使った皿を洗った後。
オレンジジュースとアイスコーヒーをそれぞれのコップに入れて、優衣の好物のお菓子を幾つ大皿に入れて、それをお盆に乗せてから。
そのお盆を持って台所を出て2階にある自分の部屋へと向かった。
そして、大和がドアを開けて自室に入ると。
「あっ、お帰りなさい、大和くん」
大和のベッドに腰掛けていた優衣がそんな事を言ったので。
「ただいま優衣、お前の好きなオレンジジュースを持って来たけど飲むか?」
お盆を机の上に置いて床に座りながら大和がそう言うと。
「ええ、頂きます」
優衣はそう言うと、ベッドから降りて大和の傍に来て。
「大和くん、失礼します」
そう言って、優衣は大和の隣に座ったのだが。
「……なあ優衣」
「何ですか?」
「えっと、いつも思っているんだけど、ちょっと距離が近すぎないか?」
大和がそう言うのも無理はなく、今の優衣は彼女の腕が大和の腕にピタリと引っ付く程、大和の傍に座っていて。
今は6月でお互い半袖で少し薄着な事もあり、そんな近くに居るとお互いの肌が直に触れ合っていて大和は内心かなり焦っていたのだが。
「そんな事はありません、私たちは幼馴染なのですからこれ位普通の距離ですよ」
何事も無いように優衣はそう言ったので。
「えっと、そうなのか?」
大和が再度そう聞くと。
「ええ、そうですよ」
優衣は普段通りの落ち着いた口調でそう言ったので、大和は自分だけ慌てているのも情けないと思い。
「ああ、分かったよ」
激しく動いている心臓の音を悟られない様に、なるべく普段通りの口調で大和はそう言った。
しかし、この時実は大和だけでなく優衣も頬を赤く染めていて、大和と同じくらい心臓が激しく鼓動していたのだが。
2人とも内心かなり慌てていて、お互いその事に気付くことは無かったのだった。
その後、2人は内心ドギマギしながらも、冷たいジュースとコーヒーを飲みながらお菓子を食べて、表面上はゆったりとした平穏な時間を過ごした。そして……
「それで優衣、今日は何をして過ごしたいんだ?」
コーヒーを飲み終えて一息ついた大和が優衣にそう質問をすると。
「そうですね……今日はお家で大和くんとゆったり過ごしたいです」
優衣はそんな事を言ったので。
「そうか、それならいつもみたいに何かアニメを観て過ごすか?」
大和がそう提案をすると。
「そうですね、いつもみたいに大和くんのお勧めのアニメがあれば観てみたいです」
優衣はそう言ったので。
「それじゃあそうするか」
大和もそう言って、自分のノートパソコンを持って来るとそれを起動して。
契約している動画視聴サイトを開いた。そして、
「優衣がまだ見てなくて面白いアニメは何個かあるけど、今日はどんなジャンルのアニメが見たいんだ?」
優衣にそう質問をすると。
「そうですね……今は特に観たいジャンルは無いので、大和くんが一番面白いと思うアニメを見せて下さい」
優衣はそう答えたので。
「そうか、それなら優衣に観て欲しい、とっておきの作品があるんだ」
大和はそう言って、あるアニメを検索し始めた。そして……
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