第6話


あの騒動から3日間。


俊は、まだ眼帯をして

目の痣を隠している。


僕ちは、大したお咎めもなく

俊をいじめていた2年生の4人は自宅謹慎らしい。


それから、智洋、俊、自分たちは

仲良くなっていた。


俊が自分に言った

家庭環境のこと、受験のこと。

智洋知らないが、あの日から

俊と自分は段々と距離が

近くなっていた。


「智洋ー、もう帰ろうぜ」


「あ、俺寄りたいとあるからいくー?」


丁度、俊が帰る準備をしていた。


「俊、一緒に帰るか?」


俊はびっくりしたような顔で


「僕といたら、その、あの」


こういう時の智洋は強い。

「なにもごもごしてんだよー!

駅前のクレープ出来たから行こうぜー!」


自分はこういうとき

智洋みたいに陽気に誘えない。


きっと。自分と智洋は

お互いないものを支え合ってきた。


「ここだー!!!」


「おい!声がでけえ!」


智洋の頭を叩いた。


「俺、このハムチーズクレープかなあ」


俊はずっと下を向いている。


「俊は?甘い系?なににする?」

そういうと俊は嬉しそうに

「いちごチョコかなあ」と言った。


「和哉は、なににすんだよー!

優柔不断な男は嫌われるぞー!」


「お前は少し黙れ」


自分たちの会話をきいて

俊が笑っている。


そう、俊が笑っている。

それを守りたかった。

また俊に笑って欲しかったんだ。

そう、また、笑って欲しかった。


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