第3話

購買について、智洋がメロンパンの

夢中になっているとき

前に並んでいたやつに

目が止まった。


色素が薄いのか少し茶色い髪の毛。

猫背でメガネをかけている

同じクラスの俊(しゅん)がいた。


なぜ話しかけたのかはわからない。

どこか、消えてしまいそうなオーラを

纏った俊に声を掛けていた。


「お前、俊だよな?メロンパン買いに来たの?」


俊は驚いた声で


「あ、えっと、、、」


俊の手の甲に目がいった。

根性焼きみたいな物があったのだ。


「お前、それ」


「和哉ー!メロンパンゲット!もち2個!」

智洋の声で自分の声が途切れた。


「あぁ、ありがと」


横を見ると俊はもういなかった。

あの手の甲はどうしたのか

なぜだか、気になっていた自分がいた。


俊はクラスでもあまり目立たない存在。

成績はいつも良く、部活などはしていない

いつもひとりでいる印象だった。


どこか、寂しげで、と考えていると

智洋が話しかけてきた。


「和哉、俊と話してたん?あいつと話すなんて

俺を見捨てたのかー!!」


なんて智洋のいつもの冗談が

飛び交った。


手の甲のことを言おうと思ったが

なぜかその言葉が言えなかった。



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