第2話


「和哉(かずや)!学校に遅れるわよ!」


確か3度は聞いた母の声。

そろそろ起きなきゃと思い

いつもの学ランに着替える。


「母さん、今日弁当いらねー」


「はあ?!何言ってんの!もう作ったのに」


今日は1週間に1回の

購買で好きなメロンパンの日。


「たく、ふたつ食うか」


暖かい朝食、母の作った弁当。

それが当たり前じゃないことが

僕はあとから身に染みることになるなんて

このときは思ってもいなかった。


「和哉ー!おはー!」


「お前、朝からうるせーって」

苦笑いで智洋(ともひろ)を見る。


「今日、メロンパンの日だぜ?!

こんなしあわせな日はないよなあー!」


智洋とは幼稚園からの親友。

親同士も仲が良くてよく

キャンプに行ったりもしている仲だ。


「売り切れる前に絶対ゲットするよなあ?!」


「はいはい、わかったから」


そんな普通でそれが

当たり前だと思っていた日常だった。

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