五の中 戦神項羽、ここに立つ!
みんなで連れだって山を下り、古い
高さは7尺(160cm)。
周囲は5尺(115cm)。
その重さは、なんと5000
普通に考えて、人力でどうこうできるような代物ではないはずだ。
ところが項羽が
さらに項羽は、
「なーんだ、こんなもんかあ」
あんまり簡単すぎて張り合いがなかったのだろうか? 項羽はまた
「あなたの力は、万の軍勢どころか、天下全てを
項羽は笑った。
「このくらい、まだまだ大騒ぎするほどのことじゃないぞ」
そう言うと、衣服の裾をまくりあげ、
なんたる剛力。これだけのことをやってのけてなお、項羽は顔色ひとつ変えていないのだ。
「あなた様は本物の天神です! 我ら二人、命を捨ててあなたに従いたい」
かくして二将軍は項羽を連れて山上へ戻り、酒宴を開いて彼をもてなしたのだった。
*
翌日。
項羽たち一行が人馬を引きつれて出発しようとしたところへ、百姓数十人が慌てふためき駆けてきた。
「どうしたのだ?」
と問うと、百姓たちが答える。
「
我々には、どうすることもできません……
幸運にも、将軍様がここへ来てくださいました。どうか、民のために害を取りのぞいてくださいませ」
「よし、まかせろ!」
項羽は、みなを連れて沢のほとりへ向かった。
すると話のとおり、馬が水中から
馬は吼え、怒り、こちらへ接近し、前足を上げて立ちあがり、人を噛もうと挑みかかってくる。
と。
「うおりゃぁあ!」
項羽は
暴れまくる馬を
馬はしだいに弱って汗を流しはじめ、やがて
しばらくして……
項羽は馬をしずしずと歩かせ、2里(約800m)ほどの道を戻ってきた。
あの
村人の中から一人の
「項羽将軍。わたくしどもの耳にも、あなたさまの威名は聞こえておりました。その将軍がみずから民の害を取りのぞいてくださるとは、なんたる光栄でしょう。
どうか少しのあいだ人馬を留めて、わたくしの家へお越しください。粗末な家ではありますが、
「そうか。じゃあ遠慮なく」
項羽は諸将を引き連れて、その家に入った。
項羽が
「ご老人、お名前は?」
と問うと、
「わたくしは
将軍のお歳はいくつでいらっしゃいますか? もう奥様はいらっしゃるので?」
項羽が言う。
「俺は満24歳。妻はまだいないよ」
「わたくしには、年老いてできた一人娘がおります。
頭は聡明、心は貞淑で物静か。軽々しく笑ったり
その子の母親は、5羽の
長いあいだ
いま将軍を拝見しますに、力は
そこで、わたくしの娘を妻として差し上げたいと思うのですが」
その姿を一目見て、項羽の心は――ざわめいた。
傾国の色香をぷんと漂わせ、これ以上の女性はこの世に存在しない、と無邪気な確信を男に抱かせる……
それほどの――
項羽は
婚約した。
持っていた宝剣を証拠として渡した。
「長居して軍勢が迷惑をかけたらいけないから」と早々に別れを告げ、
(つづく)
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