四の下 劉邦おじさん、なんか、立つ
一方そのころ、
一人は
もう一人は
「
「我々に賛同し力を貸してくれる
こうして集められた
そして
ところが、接近してくる劉邦勢を見た県令は、その兵力を見て驚き、
「お前たち、だましたな!? わしを補佐するなどと言っていたが、本当は
不安と怒りに駆られた県令は、
「いけません!
と、周囲の人々が声をそろえて命乞いをしてくれたため、ひとまずその場は、処分保留ということで収まったのだが……
*
その夜。
彼らが言う。
「県令は頭が悪い。ともに大事を議論するに値しません。
劉公、あなたの勢力は大きい。
今、時流に乗って
劉邦は
「うーん、まあ、そういうことなら、あなたがたで計略を巡らして、
その後、賢くて徳のある君主を立て、今度は人望を大切にすればいい。そうすりゃ、
「城の中の住民たちは今、心乱れて不安がっています。手紙を矢にくくりつけて城中へ射こみ、人々に利害を説き示したなら、必ず内紛が起きて、一日も経たずに城は落ちるでしょう」
そこで、その夜、手紙を作って城中へ射こんだ。
その手紙の内容は、こうだ。
『天下は
民衆は安らかに暮らすことができなくなり、それゆえ、あちこちで豪傑たちが立ちあがった。
我は今、義を唱えて仲間を集め、
もし君たちがこれを読んで投降するなら、余計な
だが君たちが天命に逆らうなら、城が陥落する日に、玉石と一緒に焼かれることになるだろう。
その時になって後悔しても、どうすることもできないぞ』
城中の民衆はこれを見て、ひそかに議論した。
「劉邦は、人相や性格が人並外れていて、天授の威厳を持っているそうだ。
それが今、兵を引き連れて城を囲んでいる。
こうなったら、我々も早く投降して、災いをまぬがれよう」
こうして、民衆は役所を急襲して県令を殺し、城門を開いて投降を願い出た。
*
狙い通り、あっさりと
劉邦勢と一緒に入城した
「劉邦を
劉邦は固辞した。
「俺ェ? いやいや! そりゃいけない!
今、天下は乱れて諸侯が国々に蜂起している。こんな時に良くない
俺は徳も薄いし、才覚はおそまつだし、たぶん民を治めることはできないよ。もっと賢くて徳のある人を選んで県令にしなさいよ」
しかし民衆は、みんなそろって劉邦を取り囲み、口々に
「劉邦さん、
あなたがもし県令になってくれないなら、我々はみんなこの街から逃げ出します」
こうまで言われてしまっては、もう断り続けることもできない。劉邦は、ついに
以来、劉邦は
そして新たに旗印を立てた。
真っ赤な旗……赤帝の印にならった旗だ。
それから10日が過ぎる間に、
かくして、一介のなまけものに過ぎなかった劉邦は、あれよあれよという間に立派な反乱軍の頭に成りあがってしまった。
そして、同時期に反乱軍として立ちあがった
(つづく)
■次回予告■
先駆ける
若く
次回「龍虎戦記」第五回
『戦神項羽、ここに立つ!』
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