残滓の途
EF
0: 情動障碍者の顛末
用語 - 0章
0-0
// サイバーウェア/インプラント/Cyberware/Implant
サイバネティクスのこと。
// クローム/Chrome
サイバネティクスをファッション性によって論じる際に利用される言葉。
主に四肢や眼球、肌、顎、着脱可能な追加の腕など、外見的に目立つものを指す。
// 亜生化学重合体―非晶質金属化合物/
Semibiochemical Polymer – Amorphous Metal Compound/SPAM
現代のナノマシンの主材料、及びサイバーウェアと生体分子の結合に用いられる高分子材料。
亜生化学とは旧世代ナノマシンにおける拡張生体系(ナノマシンのみによって代謝される化学物質を含む生体分子の総称)を扱う学問である。
第I紀には既に開発され、当時困難だったサイバーウェアと生体の結合、特に中枢神経と神経活動拡張インプラントの接続を比較的容易にした。
第IV紀でも広範に用いられ、人工皮膚と体内格納サイバーウェアを繋ぎ合わせることによるウェアの隠蔽、デッキドライヴァと脳神経の接続等々が存在。
// 妄想幻視/Hallucination
規定あるいは未規定の
多くはデータの多様性及びサイズのため、視覚情報と似た形式となり、しばしば共感覚によって、色彩や図形を描く。
大半のネットランナーの場合、外部デヴァイスやウェアによって視覚情報に近い形で処理され、脳内に第二の視野が存在し、そこに情報が映し出されているように感じられる。
しかし一部の、高いスキルを持ったネットランナーは、ネットワークに存在するそのままの形、即ち
これはネットランナーによる更に詳細かつ正確なサイバースペースの認識を可能にするだけでなく、サイバーデッキの処理高速化にも貢献するが、一方で利用できる人間が極めて限られ、精神状態によって左右される感覚を、一定の表示に固定するための訓練が必要となる。
// ヘテロジニアスシステム/Heterogenous System
第I紀特有のサイバーウェア・生体臓器並立システム。
0-0の文脈では、生体脳と、サイバーウェアOSが存在し、独立して演算(思考)し、インターフェースを通じて情報を共有するシステムを指す。
// サイバーウェアOS/Cyberware OS
サイバーウェアを統括管理するOS。
実際のところ特定のサイバーウェア上に存在するわけではなく、サイバーウェアと生体のコネクタ、及びサイバーウェア全体を接続する連絡網の上に築かれている。
かなり柔軟性があり、上述したような構成の他、サイバーデッキドライヴァに積むことも、神経加速インプラントに積むことも、なんなら
ただし積む部位によって機能の程度は変化するため、突飛なアイディアは稀で、基本的に脳に隣接する基幹計算野にインストールすることが多い。
サイバーウェアの構成は個人によって大きく異なるため、記憶領域として付属のメモリを使うこともあれば、稀には海馬や海馬を置き換えた
総じて、ソフトウェアのみを指す言葉であり、ソフトウェアは共通であっても、その下の実行部位や、OSが保管されている場所すら異なることが多いという、現実のOSとカーネルやBIOSの関係に近いものとなっている。
なお、本編で主人公はフライされて回復した後、カーネルを読み直したり書き直したりして修正し、OSと無理やりつなげるという荒業をやってのけている。
// サイバーデッキ/Cyberdeck
ネットランニングに必要な計算を補助する機器。多くの場合、ニューラルネットワークに最適化されたNPUを有する。
サイバーデッキに対応するドライヴァをインプラントとしてインストールすることが一般的。ドライヴァは有線無線問わずサイバーデッキとの高速通信を実行する。
黎明期から第IV紀に至るまで様々な形が開発されてきたが、主に2タイプに分けられる。
1.固定型
ラックサーヴァーのように、ある場所においておくもの。
極めて広義にはネットランニング用のソフトウェアをインストールしたデスクトップPCもこのタイプに入ると言えるかもしれない。
2.携帯型
小型化の進展によって携帯可能となったもの。極めて広義にはネットランニング用のソフトウェアをインストールしたラップトップもこのタイプに入ると言えるかもしれない。
モバイル・ホログラムプロジェクター並みに小さいもの(シャープペンシルより二回り大きいくらい)、1990年代の電卓程度の大きさのものなど様々。
// 微小機械/ナノマシン/ナナイト/Nanomachine/Nanite
そのまま、ナノマシン。
旧世代においては精密機械ではなく、特定の機能のために合成された亜生化学分子であったが、第II紀技術によってプログラム可能なナノマシン技術が現れた。
第II紀以降のナナイトの多くはSPAMを材料に用いており、SPAM不耐患者に用いるには免疫抑制剤を要する
// 攻性防壁/Intrusion Countermeasure Electronics/ICE
セキュリティプログラムの一種。侵入者を特定し、自動でサイバー攻撃する。
第IV紀では定義が拡張され、様々な自動反撃プログラムのみならず、相手のサイバーセキュリティを貫通して攻撃を実行するプログラムのことをも指す。
// 脳神経を焼かれる/フライされる/Get burnt/Get fried
多くの場合、ICEによって、神経ウイルスなどのマルウェア攻撃を仕掛けられ、対処に失敗した場合になる症状。
多大な情報の入力によってシナプスが焼き切れる、サイバーウェアの発熱によって脳神経細胞が融ける、情報として送り込まれた神経ウイルスによってタンパク質合成に異常を生じさせ、極めて迅速に増殖・神経細胞破壊を実行する、
なお、異常プリオンを用いた手法は現在では症状の進行の遅さ、異常プリオン対応可能なナノマシンの普及により一般的ではない。
// 仲介業者/Fixer
組織犯罪を実行する際、依頼者からの情報を受け取り、個人裁量で伝える情報の幅を決定して実行者に渡す中間者。
多くの場合、支払いで問題が生じた場合、解決は仲介業者の仕事となる。
このため信用と、舐められないだけの実力を持った実行要員との関係が必須である。
// パシフィック・ドル/Pacific Dollar/PD
環太平洋交易協定の公式通貨。アラモゴードの公式通貨(実質的にはアレクサス・アーマメントの企業通貨)、アンドレアス・ドルよりもよく用いられる。
官公庁への支払いには対応していないが、どの道アラモゴードの政府と関りがある人間は少ないため、PDだけで暮らしていける。
// レゾン/Reson/RZ
多くの場合、インプラントからの情報を拾い上げ、情動中枢の感情の動きと組み合わせる方式が一般的で、特定の感情を強調する、範疇を超えた痛みをカットするなどのエディットを行うエディタが居る。
最初期の形式はインプラントの情報を伴わず、極めて曖昧かつ限られた記憶情報を、
記憶情報は、曖昧な感情と物事の対応関係しか書いていない台本の様なものであり、これを特定の脳(特定の感覚質と言い換えられる)が再生することにより、その脳の記憶に存在するイメージを組み合わせて、映像を再現する。
例えば、ブロンドの20代の女と一夜過ごすレゾンがあったとして、再生しても実際にRZの記録者が会った女性がそもそもブロンドなのか、実際にどんな顔をしているのかは全く不明である。
単純に印象によってブロンドになり、20代くらいという感覚によって外観が決まっているため、
//
サイバースペース内で、通信ノードの状態やデータの流れといった、セキュリティを踏む危険性が低い情報を収集するAI。極めて処理が軽いAIで、オーヴァークロック状態で、限界まで計算リソースを割り振ると、毎秒10^3~ 10^6もの探索を実行できる。
サイバースペースにおけるネットランナーの目であり手であり鼻であり耳である。この収集AIの出来がサイバースペースでのネットランナーの命運を左右すると言っても過言ではない。
しかしながら、常に通信を行う都合上、見つかった場合はすぐさま深刻な危機を招く。置きICEなどされると、この収集AIが引っ掛かって攻撃が一瞬で飛んでくる危険性があるため、ICE回避などのプログラムの工夫が欠かせない。
// スードネオアンフェタミン/Pseudoneoamphetamine
覚醒物質の一種。不確かな情報源によると、第II紀に副作用の少ない強力な覚醒物質を目指して開発されたネオアンフェタミンと類似作用を持つ物質とのこと。
// テアノイド/Theanoid
L-テアニンと類似する神経化学効果を示す化学物質の総称。GABAと似て神経リラックス効果がある。
// ネットランニングスーツ/Netrunning Suit
ネットランナーが使用する特殊なスーツ。多くの場合フルボディで身体に密着する。スーツの層の間に
クオリティはピンキリである。
なお、これを持たないネットランナーは氷風呂に入ることで対処する。
// ハイポ/Hypodermic Syringe/Hypo
静脈注射に一般に使われる注射器。
蚊の口吻構造を模倣することで開発された無痛ハイポや、忙しい人向けの血管内拡散ハイポ(斜め方向に薬剤を吹き出し、血管内で拡散させることで、薬剤の流入速度を高めるハイポ)、圧縮した空気を利用するエアハイポなどが存在する。
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