第44話

…え?この声。



「…あ」


怯えた瞬と聖也の声がした。




聖也に支えられながら顔を上げると、そこには鮮やかな鯉。



「お疲れ様です!隼人さん!」



そこにいるはずのない、あたしの大好きな人がいた。




「てめえその手離せ。誰の女だと思ってんだ」


しかも超絶不機嫌そうで、こちらまで怖い。





…って、誰が誰の女?





「えっ、あ?すすすすみません!」


聖也が急いであたしの手を離した。





その瞬間、隼人さんがあたしの腰を引いた。




「って、え?隼人さんなんで…」


言い終わる前に隼人さんにグイッと引き寄せられる。




なんで?こんなみんなの前でもそうだし、なんでここに居るの???




酒で判断を鈍くされたあたしの脳内はパニックだ。

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