エーデルワイス 花✕パスポート✕変身

 エーデルワイス・・・・・・スイス連邦の国花でもあり、アルプス三大名花に認定されている。


 一面のエーデルワイスの花。一度でいいから見てみたかった。


◇◆◇


 私は星野華ほしのはな。高校二年生で、華道部に入っている。私が一番好きな花はエーデルワイス。変わっているかもしれないけど、あの白くて星のような形をした花が本当に好きだ。


 実は私、実物はほとんど見たことがない。小学生くらいの頃、華道だったか、フラワーアレンジメントだったか忘れたが、展示会に行った時にエーデルワイスの花が使われている作品を見た。


 本当に一目惚れだった。一瞬で小さな私の心を鷲掴みにした。あの、白くてどこまでもきれいなエーデルワイスの作品。もちろん、あの頃はスマホやカメラなんかを持っていなかったからこの想いを他の人に直接伝えることは出来ない。でも、確かに私の心にあの光景は焼き付いている。


 シンプルな白い花瓶に植えられたエーデルワイス。単調な白だけの作品なはずなのに、ピンッと揺るぎない一本のイメージが見えた。


 作品名は忘れてしまったけど、いつか自分でもあんな作品を作りたいと思って中学校から華道部に入っている。


◇◆◇


 そして、高校二年生になった今年の夏、急にエーデルワイスの花が見たくなった。


 思い立ったが吉日とはよく言ったものだ。私は居ても立っても居られなくなり、夏休みにスイスに行くことにした。


 まず、親に許可を貰いに行った。私の親は華道の先生なのでなんか快く許可してくれた。


 そして、パスポートを申請しに行った。ちなみに、私は一回も海外に行ったことがない。


 英語はカタコトなら喋れるけど、そんなに上手ではない。でも、身体がウズウズしていた。今ここで行かないと、もう二度と行けないと本能が訴えてきていた。


 そして、夏休み、私は一人でスイスへと旅立った。


 ちなみに、私にはかっこいい彼氏が居るけど、伝えるのを忘れて、出発の日になっていた。


「変身! 」


「うわわわわわわ! 」


 空港につくなり、元気な男の子たちが走り回っていた。元気いいなぁなんて想いながら私はスイスへの飛行機に乗った。


◇◆◇


 スイスまでは飛行機に乗って一八時間。私は結構頑張った。身体が結構悲鳴を上げてきていたが、夢のエーデルワイスをみるためならばこんなものは苦痛のうちに入らなかった。


 そして、優雅? なフライトを過ごした後、私はスイスに降り立った。目的のスイス国立公園まではスマホの翻訳機を駆使しながら頑張って向かっていった。


 本当にスマホってすごい! スマホがなかったら私は空港から一歩も動けていなかっただろう。  


 スイス国立公園の中に入り、もう少しでエーデルワイスの花畑に着く時、彼氏から電話がかかってきた。


「おい、華、今どこにいるんだ? 」


 彼はすごく息を切らしていた。


「どこって・・・・・・ スイス国立公園だよ」


「はぁ? なんでそんなところにいるんだ? 聞いてないぞ! 」


「あっごめんごめん、良い忘れてた」


「はぁ、とりあえず無事なんだな。 本当に心配したんだぞ」


「本当にごめん、エーデルワイスの花を見に来てるんだ」


「ああ、華が一番好きって言ってた花か」


「覚えていてくれたんだ」


「だっていっつも言ってただろ、エーデルワイスの花言葉は『大切な思い出』だって、もう、次から何処かに行くなら俺も誘えよ。今回は許しておいてやる。次一人でどこか行ったら許さないからな! 」


 そういう彼の言葉はとても私の心にジーンときた。熱がこもっていて、本当にあったかい言葉だった。


「うん、じゃあエーデルワイスの花持って帰るね」


「おう、待ってるからな」


 そう言って電話が切れた。


 ついにエーデルワイスの花畑に着いた。一面真っ白な花で埋め尽くされている花畑。私はたくさんの星に囲まれていた。


 ああ、来てよかったな〜


 私はこの花畑を一生忘れないだろう。


◇◆◇


 帰る時、空港で出国審査の時に、エーデルワイスの花を見てきたんです。と、審査官に言うと、


「一人でここまで来たの? 大したものだ。そうだ、良いことを教えてあげよう。スイスでのエーデルワイスの花言葉は『高潔な勇気』『大胆不敵』なんだ。本当に君にエーデルワイスはぴったりだね」


 エーデルワイスが好きで本当に良かった。


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