第46話 感謝を伝えて

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 ウィンナーを大量に買い込んで、二箱分。それを持って学校へと目指していた。

 ガタンガタンと列車で移動しているのだが、混雑してきた。麗美と顔を見合わせて、段ボール箱を荷棚に上げた。

 そして空いた座席に座る。

 夕日を背に浴びながら、二人は黙っていた。

 そしたら手を彼女が繋いできた。


「どうかしたんですか?」

「私、最初はあんたのこと嫌いだった。協調性がなくて、いっつもぼけっとしていて、誰とも関わろうとしていなくて。そんなあんたが大嫌いだった」

「そうですか」

「でも今は違う。誰かの助けになろうとして、こうして嫌な役を引き受けてくれているのは本当にすごいことだと思う。簡単には出来ないよ。そんなあなたに、私は……」


「麗美ちゃん。私は決して偉い人間ではありません。同性愛者で、一度は死を渇望した弱い人間です。それを一度救ってくれた人がいるからこそ、いまの私がいるんです」


 そうじゃなきゃ、私、もう死んでいました。そう言葉にすると苦悶を浮かべた麗美。


「ごめんなさい。本気にしないでください。冗談みたいなもんですから」

「冗談でもそれは口にしないで。私が大罪を犯してしまったことを後悔している。だからもう決めたの。二度と人を不幸にしないって」


 志桜里は笑みを浮かべた。「それはいい心がけですね」


「馬鹿にしているの?」

「そんなわけないじゃないですか。でもその気持ちを忘れないでくださいね」


 電車は池袋駅に着いた。志桜里は固い声で「降りましょう」と言った。なぜか志桜里は不機嫌だった。だがしかし、それは志桜里も自覚していなかった。


 倉庫にウィンナーを保管させると志桜里は帰路に、着いた。

 再び電車に乗り、それから自宅の最寄り駅で降りて歩いていると、ふと声を掛けられた気がして振り返る。だが、そこにあったのは半月だった。


「気のせい、だよね」

「気のせいじゃないよ」

「え?」


 下を見ると身長150センチ後半ぐらいの女の子が立っていた。


「久しぶり。志桜里お姉ちゃん」

「えっ、誰?」

「私だよ。花だよ」

 そう言ってゴロゴロと喉を鳴らした。


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