第24話 そして香帆と志桜里は韓国へ。
6
朝、志桜里は玄関前にいた。
秋晴れのなか、涼しい風が肌を触る。
「ん、いい気持ち」
今日は香帆と一緒に韓国へ旅行に行く日なのだ。
「カンジャンケジャン。サムゲタン~」
駄菓子屋の店内では、旅行バッグのなかに衣服をしまいながら香帆が変な唄を歌っている。
「ちょっと。変なの唄わないでよ」
「それぐらい楽しみなの! もう、放っておいてよ」
すると家屋の前にタクシーが止まった。香帆はそのトランクに荷物を入れて、後部座席に乗り込んだ。志桜里も乗った。
羽田空港までの道すがら、香帆はポケットの中から花札を取り出した。
「これで一緒に遊ぼうよ」
「いいよ」
三十分間花札で遊んで、それから配点を計算する。
「私の圧勝だね」
ニコニコっと小馬鹿にするように笑いかけてくる香帆。それに腹が立ってむくれる志桜里。そんな様子に、香帆はますます上機嫌だ。
「そろそろ到着いたします」
タクシーはロータリーに止まった。
運賃は香帆が支払ってくれて、外に出る。
眩しい陽光が射した。そのとき、手で顔を覆った。
「なにしてんの。早く行くよ」
志桜里が頷いて、羽田空港へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます