第10話 楽しかった思い出

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 終園時刻になって、志桜里と香帆はディズニーシーを出た。

 それからバスに乗って少しうたた寝をした。

 すると肩に違和感があった。志桜里はなんだろうと思って、横を見ると香帆が志桜里の肩に頭をのせて寝息を立てている。

 志桜里はそんな彼女の髪を触った。少し硬くて、シャンプーの甘い香りがして、それを感じるのが心地よくて。

 あっ、そう言えば……と思い、志桜里は勇気を出して香帆の肩を抱き寄せてぎゅっと抱きしめた。


「一日、一回抱き合うのがルールなのに、発案者が忘れててどうするんですか」

 

 この時間が、永遠に続けばいいのに、とか思う。

 終点の駅に着いて、志桜里と香帆はバスから降りる。香帆はあくびを噛み殺しながら歩いていた。


「じゃあね」


「うん。じゃあね」


 香帆の背中を目で追いながら、自分も帰るか、と思い駅の改札へ行く。


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