第9話 東京ディズニーシー
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園のアトラクションを半分ほど回ってから昼食。志桜里はランド限定の白米がミッキーの形に盛られているカレーライスを。香帆はドナルドダックのホットドッグを食べていた。
「それだけで足りるの?」
そのホットドッグはどう見ても子供用の食事の量。女子高生が満腹にはならないだろうと思う。
「うん、足りるよ」
そっか、と深く追及はせずに目の前の食事に集中する。
「そんなことよりさ、次、新ランドに行かない?」
「新ランド?」
「塔の上のラプンツェルとか、ピーターパンとか、アナ雪のコーナーが新設されたんだよ。そこに行ってみない?」
「いいけど……」
もくもくと彼女はホットドッグを完食。立ちあがって志桜里の手を引っ張った。
「ちょっと待って! まだ食べ終わってないから」
「いいからいいから」
ああ、ミッキーカレー、半分しか食べてないのに。もう少し食べたかったな。
そんなことを思いつつ、その新ランドへと目指した。
東京ディズニーシーの入門パスを購入し、いざ「ファンタジースプリングス」へと向かう。
まずはアラビアンコーストとロストリバーデルタの間の通路を歩き、幻想的な岩が隆々としている魔法の泉を眺望し、それから『アナと雪の女王』の「フローズンキングダム」が見えた。
「まずはここから見ようよ」
「うん」
まず視覚に入ったのはノースマウンテンと氷の宮殿だ。そしてかつては雪に覆われていたことを示すように、遠くに雪を被ったフィヨルドの崖や山が見えるのもポイント。エルサの氷の城も見つけることが出来る。
トロールの谷から物語がスタートする。トロールの長であるパビーが二匹の子供トロールの前に立ち、アナとエルサの物語を語り始める。「雪だるまをつくろう」を背景に物語は移り変わり、パピーの魔法でアナとエルサの幼いころの場面が映し出されていた。
「アナ雪って、自己解放をテーマにしているみたいだよ。でも、それって淋しくない?」
「どうして?」
「エルサは孤独になった時でしか、自分を解放できなかったから」
たしかに言われてみればそうだ。エルサは雪の魔法を持ってはいたが、それを隠し続けた。国王の娘だから、っていう理由で。
だとすればなんて悲しい物語なんだろう。
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