第3話 DM
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放課後、電車の車両に乗っていた。
すると床に座り込んでいた迷惑な学生たちがいた。けらけらと笑っている。
だがしかし、そんな学生たちを誰も注意はしなかった。乗客は見て見ぬふりをする。それが当然かのように。そのことに、志桜里は憤りを感じた。自分は学校でコイツらのように空気の読めない態度を悪気無く取ってしまうことで、虐められるようになったのに。社会の審判は、本当の意味で平等ではない。かといって自分も怖くて注意が出来ないのだから同じだろう、と思い手前勝手な考えを自省をした。
そして最寄り駅に降りて、あくびを噛み殺しながら歩いた。自分は能天気ですよ、と誰ともなくアピールするため。そのわけは、自身の憂鬱さを今のうちから
自宅に戻り、スニーカーを脱ぎ、二階の自室へと戻ろうとする。するとどうしてか暗い表情をしていた母親が現れ、志桜里の腕を掴んだ。逃げないように。
「今日はちゃんと学校に行ったの?」
そんなの、母には関係ないだろう、という毒牙で母のことを蝕んでやろうかとも思った。けれども、自分にはそれが出来ない臆病さを自覚している。まるで自分で狩猟をしないハイエナのようだ。
志桜里は無視してこの場から逃げた。
学校にいるときは食べられなかったお弁当。中身を開けると鮭フレークが白米の上で踊っている。それを一口食べる。咀嚼するたびに、もう冷たくなった白米や、じんわりとまだ人肌程度にはぬるい鮭フレークが傷ついた胸中をそっと撫でてくるようだった。
ああ、もう限界だ……
濁流のように流れてくる悲しみに、抗うすべはもう持ってはいなかった。歯茎を食いしばろうとするが、歯が震えて、震えて。嗚咽を漏らした。手を口に当てて、誰にも聞こえないように。自分の耳にも聞こえないように栓をして。
4
突如、というかそのきっかけは積雪のようだったけど、死にたくなった。
ネットの掲示板を覗いた。
「自分を殺してくれる人を募集します」
そういうスレッドを立ち上げても、やってくる人たちは冷やかしで、本気にはしていない。
そこで自分がバイトで一生懸命に貯めた三十万円を渡すつもりでツイッタ―で募集を掛けた。
すると、とある女子高生(どうして女子高生か分かるかというと、アイコンが制服姿の女子だったからだ)がDMをくれた。
提示された場所に行ってみることにした。そこは歌舞伎町の一角、某ラブホテルだった。
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