第4話 秘め事ゲーム、生きる猶予は三か月。

 5


「本当に来てくれたんだあ」

  騙されていたわけでもなく、本当に女子高生だった。実を言うと、今の今まで疑っていたのだ。なぜなら指定された場所がラブホだったからだ。

 性行為のあと、首を絞め、殺害するというのを相手は考えていて、そのため、多少大声が出てもいいように、ラブホという場所を選んだ。そう志桜里は考えていたのだ。

 そのため、どうせサイコパスなおっさんだろうと思っていた。

 しかし、違った。

 まるでラノベの表紙から出てきたような可愛いルックスの女子。だがしかし、それと大きく異なる点は、瞳から訴えかける狂気さ。まるで殺人鬼だ。それをいままで映画やドラマでしか見たことがなかった志桜里にとっても、少し怖くなってしまうのだった。


「あなたが、ツイッターで誰かに殺されたいと募集していた子よね?」


「……はい」


 すると満面の笑みを浮かべる女子。「いいよ。どう殺されたい?」

 緊張から唾を飲み込んでしまった。少し後ずさりしてしまう。

 すると目の前の女子が近付いてきた。そして志桜里の首を絞める。手が震え、足も震え、よだれが垂れて、そんなみっともない死のうとする様を、美しい女性に見せることにオルガズムを感じる。

 そのことが、気分は気持ち悪くて。

 でも相反して、身体は反応して気持ちよくて。膣から蜜が溢れ、絶頂しそうで。

 そしたらふっと首の力が弱まった。


 どすんと床に崩れて、倒れる。


 もうこのまま死ねればいいのに。でも、死ねなかった。死なせてくれなかった。


「どうして……」


「あなた、可愛いね」


「え……」


 するとこの世の地獄の果てを見てきたような、あたかも大罪を犯し落第したルシファーみたく志桜里を見つめてきた。


「ねえ、私と恋愛させてくれない?」


 頭が回らない。なに言ってるのか分からない。ていうか、自分自身の残された理性が理解させようとしていない。


「というか、ゲームだね」


「ゲーム?」


「猶予は三か月。三か月の間、私があなたにこの世のすばらしさを教えてあげる。でもリミットの三か月を過ぎても、あなたがまだ死にたいようなら、殺してあげる」


 それはある意味では、死への余裕を持たしてくるものだった。

 

 その三か月後、自分はどうなるのだろうか。


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