第一章 壊れた自分
第1話 毎日見ている夢
1
司馬志桜里には、毎日見ている夢がある。
それは駅のホームに飛びおり、この糞ったれた運命や宿命ごと、自身の体を壊す夢。
運命にも、宿命にも呪われた、最悪な女。それが司馬志桜里だ。
金切声を上げながら車両の扉が閉まる。そしてゆっくりと発進し、ホームから抜けたら見咎めるような陽光が志桜里の心を刺す。きゅっと心臓が締め付けられた。
そうだ、自分は今から地獄へと向かねばならないのだ、と改めて認識する。
ぐすっ、と鼻をすする。いつの間にか涙目になっていたようだ。憂鬱な気分を変えるためサブスクで音楽を鳴らし、イヤホンを耳に差す。好きな男性アイドルの歌唱曲の旋律を堪能する。それでも、不条理に対する憤怒は収まりはしなかった。それと戦々恐々とするような畏怖。志桜里は、怒りと同時にさまざまなことが怖かった。
そして池袋駅に降りて、バス停に寄る。次の本線まで三十分だ。
志桜里はベンチに座って陽光に手をかざした。それでも、手は焼ききれなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます