君の唇は百合のはなびらの味【1ヶ月で2000pv突破!】
柊准(ひいらぎ じゅん)
第一部 酸欠な少女は死を願った。プロローグ~第33話
プロローグ
「ねえ、あなたの唇はどんな味?」
細い指が
香帆は二重の目をきゅっと細めて、意地悪な笑みを浮かべた。
「とっても美味しい」
ここは二人以外だれもいないバス停。古びた木造の屋根に、ぽつぽつと雨脚がそっと撫でる。
志桜里はうつむき、「ひどいよ」とか細くつぶやいた。
今にも泣きだしそうな志桜里の頭を撫でる香帆。
「私、あなたのことすっごく大好きなの。その気持ち、わかってくれるよね?」
そんなことを、平易的に言ったことに志桜里は恐くなった。
彼女は、恐ろしい。
でも、そんな彼女を心のどこかで求めてしまう自分がいる。
志桜里も恐々としながら香帆の頬を触る。
そして震えながら同じように、キスをした。
それに、意味なんてあるのだろうか。単純な官能さに、惑っているだけじゃないのか。
もう、志桜里は彼女に依存している。
いつか、自分は彼女に殺されてしまうというのに……
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