刀者之和

神成幸之助

第1話 秋風白夜

「思い出せ、《孤月(コゲツ)》」

「天空を踊れ《秋桜(アキザクラ)》」

《対馬の戦い》終末戦。

少年と少女が斬り合う。

「……せあっ!」

「ッ!」

斬撃同士が衝突。火花が飛び散った。

「走れ〝流れ桜〟」

少女の速度が増した。

技の名を呼んだという事は、これが少女の持つ刀の特性だろう。

《超高速戦闘》。国連の秘密兵器と言われるだけはある。

…………なら……―――――――

「〝王牙天翔〟」

斬撃を飛ばす技。少年の刀は、斬撃を強化できる。

「西洋流剣術………エクシア」

四連撃。斬撃を連撃で受け止めた。

「天を斬れ」

後ろに回り込んだ少年が攻撃を仕掛ける。

「王牙天翔」

近距離の直接強化斬撃。少女はそれすらも躱してみせた。

「ヒナタぁあ!」

「白夜ぁあ!」

互いの上段斬りが衝突する。

「くっ…………!」

「セエエエエイッ!」

――――――――――押される…………!

…………負けている。身体能力も、人を殺す覚悟も…………全部。

「諦めるな!」

声の方にいたのは、仲間の刀者たち。

「みんな…………」

「受け取れ!」

そう言って仲間たちは抜刀する。

「斬り裂け、雷切」

「伏せろ、膝丸!」

「届け、穿流!」

「巻き戻せ、夕刻」

「紅の夜をお見せしよう、紅月!」


「一閃限界!」

一太刀にすべてを込める、秘技。


「みんな、ありがとう…………喰らえ、孤月!」

少年の刀から現れた竜の顎が、仲間の力を喰い尽くした。

「準備はできたようね」

「ああ」

「一閃限界!」

少女は奥義を発動。

「天、空、地。三理の元に廻れ、輪廻の渦。星々を廻す光星。目指すは光の空。舞い上がれ」

少女の気迫が強まった。

少年は、刀を正中線で構える。

「吐き出せ…………孤月、〝王牙天翔〟!」

「〝百桜繚乱〟」




こうなる前を、見てみよう。

それは、一年程前の話――――――――――――――――――――。


天皇謁見の間。

 令和天皇。

「天皇の名の下に、《剣皇》秋風白夜に命じる。最終防衛線対馬を独立させ、国家として国連を撃退せよ」

命じられたのは、称号剣皇を持つ刀者。

《秋風白夜》。そして愛刀孤月

「はっ。《剣皇》の称号に懸けて、謹んでお受けいたします」


俺は一週間後、対馬に着いた。

「ここが…………対馬か……」


そこは戦いの最前線。

自然に満ちた大きな島。


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