エピローグ Another Story

第7話

エピローグ


「転送」

 キィ・バシューが静かに告げた。


「転送します」

 ロワ・リーグは復唱し、パネルを操作した。


 室内にさらに立ち上がったモニターが、隕石のような塊を映し出した。


 歪んだ空間の中でその塊はゆらゆらと揺れ、それからすっと空間を抜け出した。さらに別のモニターの中で、突然目の前に美しく青き地球がその姿を現した。隕石を模したその小型の機械に搭載されたカメラが映し出す映像だ。


「発射」

「発射します」

 復唱するロワの声にためらいはもはやなかった。


 地球に向かって伸びた光は瞬く間に到達し、地球をほのかな膜で包んでいった。大気の層よりはるか上空まで、もはや空とは呼ばない領域まで、ぼうっとした光がヴェールのように惑星を包み込んだ。


 二人が見守る中、光は幾度もその淡い色彩を変え、それから消えた。


「生命体消滅。破壊しますか?」

「いや、もう一度生命の種を蒔こう」

 地球時間で38億年ほどのちに、人類が再び同じような進化を遂げるのか、それとも宇宙が求める進化へ向かうのか、キィはこの星にもう一度賭けてみようと思った。


「了解。播植します」



―Fin―

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創作ノートs Short Stories 瑞口 眞央 @amano_alis

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