家事と好感度
第8話
「はー、四つも食べてしまいました。幸せ太りしてしまいそう」
恐らく凛夏が胃袋を掴まれる日は近い。
凛夏が縁側でゆったりしていると清士郎が洗濯物を干しはじめた。
清士郎の背中に凛夏ははりついた。
「手伝ってくれないでしょうか?」
「清士郎、私は貴方に恋をしています」
「はあ、それは手伝わない理由なのでしょうか?」
「まじめに言っているので、はぐらかさないでください。今は私の事どう思いますか?」
「働かざる者、食うべからずです」
洗濯物を干し終わるとさっさと立ち去る清士郎。
取り残された凛夏はしゃがんで考え込んだ。
「どう言うこと?!」
「はははっ、家事を手伝えってことだよ、凛夏ちゃん」
「家事を手伝えば好きになってもらえるのですか?」
「今のところ好感度が0だからポイント稼がなきゃ」
「でも私、家事をやったことがありません」
「だろうな。清士郎に教えてもらえば良い。少しずつ距離は縮むだろう」
「愛の共同作業と言うことですね、ロン様」
「んー、まあそういうことにしておこう」
清士郎のことだから直ぐには好きになったりはしないし、一生小間使いで終わる可能性も高い。
だが、龍神には凛夏が必要だ。凛夏の通力の波動が心地よいから、もっと触れ合いたい。
龍神は清士郎をエサに凛夏を繋ぎ止める事にした。
それに神通力の素質は凛夏の方が上だろう。うまくすれば清士郎の事業拡大の目的も叶うのだ、こんなに条件の良い娘は他にいないだろう。
帳簿を整理しながらふと気がつく。
頭に乗った龍神が少し重い。
「ロン様、体が少し大きくなられました?」
「そうだな。凛夏ちゃんになでなでしてもらっておっきくなった」
「姫君はそんなにロン様への信仰心があるのでしょうか?」
「いや、撫でられるだけでビンビンになる」
龍神は思い出して身をよじっている。
なんか下ネタみたいな表現だなと清士郎は思うがスルーだ。
清士郎は幼い頃からろくなことにならないので下ネタには乗らないことにしている。
凛夏が横に来た。
「お手伝いすることはありますか?」
「今はいいです」
「じゃー、オレと遊ぼう! なでなでしてくれ」
凛夏は龍神をきゅっと抱き締めた。
「はわわ!」
「ロン様、そんな声出したらダメです」
と言いながら龍神を撫でる。
「はあぁ、良いぞ凛夏ちゃん。もっとして」
「ロン様、気持ちいいですか?」
「あー、すごく良い。ギンギンしちゃう」
「うふっ。ロン様、よしよし」
「あぁー、あぁー」
「そんなに良いのですか?」
「はあぁはあぁ、おっきくなっちゃう!!」
清士郎は龍神と凛夏のやりとりを無視して字を書いていたが、なんかちょっと字が歪んだ。
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