失恋記のエピローグ
第4話
『アリーの失恋記』は、つつがなく発売されてしまった。
名前を伏せて出版されたが、学園編はアマリアを知っていればアリーが誰だかわかる内容だった。
スラディア王国、東の離宮にて。
「アマリア、すまない!」
グレイスが謝るがアマリアに生気は無い。
「生き恥だわ……」
「本当にすまない」
「もうお嫁に行けない」
「それについて話をドクトール殿から聞いていないのか?」
「印税の話はもういいわ!」
アマリアはソファーにうつ伏せになった。
「アマリア」
グレイスがアマリアのいるソファーに座った。
「何よ~」
「責任は私が取る」
「本を回収してくれるの?」
起き上がり、目を輝かせてアマリアが言った。
「いや一旦、本から離れて」
「なんだ」という表情を浮かべ、アマリアはまたうつ伏せる。
グレイスはアマリアの髪を触る。
アマリアは心底わからないと言う表情をした。
「アマリアが良ければ私と結婚しよう」
グレイスがいたずらっぽく笑う。
アマリアの思考は停止した。次に言葉の意味を理解して起き上がる。
「良いの?!」
「うん」
アマリアはグレイスに抱きついた。
こうして長い歳月をかけてアマリアの失恋が終わった。
グレイスは離宮から出てドクトール家の婿養子になることに決まった。
「もう帰れなくて良いの?」
「良いよ。帰る場所はアマリアの側に決めたから」
「あら、甘い!」
アマリアはあまりの恥ずかしさにクラクラした。思わず意識を手放しかけた。
グレイスはアマリアの身体を支えた。
この先、二人でいれば賑やかな毎日になるだろう。
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