第6話 外出
「他にも色んなことが出来て……例えばこんなことをしてみると……」
「……何をしたのか概ね察したわ。私が貴女の事を好きになるように反射とやらを調整したのでしょう?」
「バレちゃった。結構強めに好きになるようにしたんだけど、なんかあんまり効果なさげだね?」
「正直、とても貴女のことが魅力的に見えているわ。だけれど、一度トリックがわかっている以上理性で抑え込める。それだけのことよ。」
「ちぇ〜ネイちゃんの理性が強くてつまんな〜い。」
「それにしても、感情すら操れるのねその力は……。」
「ん〜操るっていうか……今回の場合は引っ張るって感じかな?私が私のことを強く好きだと思ったから、ネイちゃんもそれに引っ張られて強く好きになったって感じ。」
「あぁ、なるほど……。私達は感情を共有しているのだったわね。」
「そういうこと!やっぱネイちゃん賢いよね〜流石学年首席!」
「ところで……質問良いかしら?」
「ん、良いよ!なんでも聞いちゃって!」
「反射は未来からも来ると言っていたけれど、それってつまりどういうことなの?未来は不確定なんじゃ……」
「あぁ、未来は決まってるよ。説明の最初の方でも言った気がするけど……まぁ詳しく説明するよ。」
「この世界の全ては反射で決定されている。そして、反射の仕方はある一定の法則に従っている。だから、一つの反射が次はどこへ行くのか、その次はどこに、その次は……って感じで追っていけば、その反射の未来が分かるの。」
「反射は複数あるけど、その複数全部を追っていけば、いつか全体の未来も分かるって訳。だから未来は決定されてるの。」
「なるほど……初速と角度が分かっていればそのボールがどこに落ちるのか分かる。そんな感じの話ね?」
「そういうこと!そして、未来は絶対に決定されていて不変だから、実質的に未来はこの世界にもう存在しているの。そして、存在している物には情報があって、情報があるならそれが反射する。」
「それは……予知夢とかそんなのにも通じるのかしら?」
「うん。というか、夢も反射の話だからね。あれは脳にある反射を寝てる間に見てるだけ。その反射には群反射がないから脈絡のない話になってるの。」
「予知夢がある断片的な未来の情報しか見せないのは、我々が断片的な反射の未来しか見えてないから。」
「……なるほど。大体分かったわ。」
「ん、なら良かった!」
「さて、まだこの部屋で話してても良いんだけど……せっかく足枷外したんだし、外出ない?」
「……良いの?さっきから外に出すみたいな話はしていたけれど……。」
「良いよ良いよ!ネイちゃんも外には出たいだろうし、私も外に出た方が説明し易いしからね。」
「そういうことなら……お言葉に甘えましょうかね。」
「じゃあとりあえず手繋ごう!私ネイちゃんと手繋ぎながらデートしたかったんだ……!」
「……案外子供らしいのね、貴女。」
「なっ、子供らしいなんて失礼な!私は立派なレディだよ!」
「はいはい。行きましょうか。」
「……久しぶりに太陽を見たわね。なんというか……凄く眩しい……。」
「ん〜夏だけど今日は涼しめだね!あっ、ネイちゃんはどこ行きたいとかある?」
「特になにも……まぁ、警察に行って貴女をつき出したいとは思うけれどね。……どうせ無理なんでしょうけど。」
「まぁね〜ネイちゃんはこの世界に存在しないことになってるから、私を捕まえようにも何も理由がないよ。」
「はぁ……なんて厄介な。」
「じゃ、川の方行こうか!ネイちゃんと〜お散歩〜えへへ。」
「……本当に子供らしいわね。」
「あぁ、そういえば。何故私はこの世界に存在しないことになってるの?」
「ん?そういえば説明してなかったっけ。ネイちゃんを群反射から隔離したからなんだけど……つまりは、この世界とネイちゃんを離れ離れにしたんだ。」
「実は、ネイちゃんが存在してる世界は私の独反射の世界で、本当の世界とは別のとこに居るの。」
「つまり……私がネイちゃんの世界の神って感じかな?本当はもっと好き勝手出来るよ、ネイちゃんに。」
「……もしかしなくても、貴女私の生殺与奪の権利を握ってる?」
「そうだよ。あんまりネイちゃんに酷いことしたくないから基本その力は使わないつもりだけどね〜。」
「……待って。考えれば考える程とんでもないことをしてないかしら?」
「ん?なんで?」
「だって……私が貴女の世界にしか居ないってことは、私は完全に貴女に依存しているじゃない。それに生殺与奪も握られてるし……私に何もかもし放題なんじゃ?」
「そうだね。割と本当になんでも出来るよ。例えば……今からネイちゃんに空を飛ばすこともできるよ?」
「……私は高所恐怖症なの。勘弁願いたいわ。」
「ふふふ、ネイちゃんが嫌がることはあ〜んまりしないよ。あんまり。」
「ちょっとはするのね……はぁ……先が本当に思いやられるわ。」
「あっ!蝶々!綺麗な黒色だね……私蝶々好きなんだ。」
「……私は虫全般苦手ね。」
「え〜蝶々は綺麗だからセーフとかない?」
「ないわね……虫ってだけで怖いわ。」
「そんなぁ……じゃ、今回は虫は出ないようにしとくね。」
「……そんなことも出来るのね。」
「まぁ、見えないようにしただけで別に居るんだけどね。」
「……えっ、それじゃあ意味ないんじゃ……」
「ま、気にしなくてよし!ほら、手繋ぐ力緩んでるよ!もっとぎゅっとして!」
「……はぁ。」
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