第1話 もう1人の僕(続き)





「っ、次は、『アンチコメや誹謗中傷とはどういう物だと思いますか?』それは、ん〜、やっぱ嫌だけど、僕はこんな考えがあるんだよね〜。ちょっと、と言うか結構長くなるけど、聞いてね」

「アンチや誹謗中傷をしてる人って、その人の全てを知らないのに、その人を傷つけてるじゃん?その人の好きな物、過去の出来事、嫌いな物や得意な事、今ハマってる物を知らない。全てを知らないのに平気で傷つける。

その人がどんな人生を送ってどんな過去を送ったかも知らずに、その人の全てを否定したり、傷つけたりする人は僕は嫌い。『自分がされて嫌な事をするといつか自分に返ってくる』この言葉を僕は心に刻んでる」

「あとは、アンチをしたりするのって、アンチする人を羨んでるって事だったりするよね笑、自分より優れていて、自分より凄い人が少し失敗したり変な事したら、ここぞとばかりにアンチとかする。自分じゃ勝てないからって、ネットって言う所で芸能人やインフルエンサーをストレス発散の道具にして良いって訳じゃない。誹謗中傷はイジメと何ら変わらない行為だから」

「ネットに何を投稿したって別に良いよ?でも、人を傷つけて自分が喜んだり、自分だけが悦に浸る様な事だけはしちゃダメ。と、言うか現実では言えないのに、ネットって言う開放的で意味良いで誰にでも見られる所だから、言う奴らって、一言で言えば笑、根性のない馬鹿だよね?だってさ、SNSとかで誹謗中傷した所で、アカウントの主の情報開示請求とか、出来る時代だし、そもそも捨て垢だから大丈夫だから、誹謗中傷してる奴らも奴らだしね。自分の快楽の為とか腐った言い訳や悪い事したらとか自分には関係ない事なのにそれで、人を傷つけて良い事にはならない」

「それに、努力をしてる人やその仕事や趣味を大切、頑張っている人を貶したり、傷つけたり、その人が不倫をしたり、浮気したりしてても、それはお前らに関係あるのかって、言いたい。浮気をしたのはその人で、お前はされた側でもなんでない他人だろ?何が「サイテー、死ねば良いのに」とか「応援してたけど、辞めます」とか言ってるけど、それをわざわざ、SNSと言う誰でも見られるところに投稿する人って馬鹿」

「あとは、悪い事したとかニュースとかでやってて、SNSで叩きまくって、いざ悪い事してなかったってなったら、手のひら返しで、「俺はそう思ってた。信じてた!」とか「〇〇君が、そう言う事する人じゃないって私は知ってる!」とか書き込むよね笑」

「まぁ、ぁ、他にはアイドルの熱愛が出たら、アンチとか誹謗中傷してる奴らに言いたいけどお前らは今まで、推しにどんだけ幸せを貰ってきたの?アイドルはファンからの応援や推して貰う事で、幸せを貰ってる。なのに、ファンであるお前らが推しを傷つけてはいけないよね?中には「裏切られた!」や「ファンが1番じゃないの!?」とか「ファンを大事にしてよ!」とか「私の〇〇君はそんな事しない!」言ってるけど、それってお前らはアイドルのプライベートまで、完璧にしたいの?人間誰しも、完璧な人間なんていない。そもそも、アイドルに恋愛をし辛くさせてんのは、お前ら。プライベートはアイドルじゃなくてただの、人間。それを、忘れないで。あとは、私の〜とか、僕の〜とか言ってるけど、お前らのじゃないし、そんな事はしない!とか、言ってるけど、それってお前の妄想上の推しだろ?現実の推しじゃねーだろ?現実の推しを妄想上の推しと重ねるなよ?、自分の考えてた推しと違う言動をしただけで失望したり、ショックすんな!むしろ、推しの新たな一面が見れたって、事で良くね?って僕はそう思うな笑」


そうゆっくり、だけど丁寧に言うとコメントでは『全くその通り!』や『美咲君のおかげで心が晴れた!』とか『この言葉をアンチしてる奴らに聞かせたい!』、『そうだよね!推しがイメージと違う言動してても、可愛くも見えるし!』、『そもそも、アンチとか誹謗中傷してる奴らは、考えなしにやってる馬鹿』何て書かれていた。僕が嬉しくて少し笑った。他にもコメントを読んだあと、


「じゃ、長々しくなったけど、今日の配信はこれまで!アーカイブは残すよ!!では、また、来月!バイバイ!!」


そう言って、配信を切った。僕はひとまず、段ボールに先ほどの服を入れて、色々片付けたりして、終わったら、ミニソファに座って時計を見ると6時40分になっていた。

僕は急いで、1階に降りて、トレーに乗ったハンバーグを大きめのフライパンで5個焼いた。焼いている間に付け合わせの野菜とソースの準備をする。


「ブロッコリー、人参、ケチャップ、ウィスターソース、砂糖、えのきこれでよし」


ハンバーグを5個が焼き終わったら、残り5個を焼き、その間に小皿でソース作りを始める。

ケチャップ、ウィスターソース、砂糖を入れて混ぜる。ケチャップ多め、ウィスターソース普通、砂糖普通と言う感じ。次にえのきの下の部分を切り、残りを半分に切れる、ブロッコリーと人参は冷凍のやつで鍋に水を入れて、沸騰したら入れる。中火で10分茹でれば、準備完了。

残りの5個焼き終わったら、それも皿に移して、ハンバーグを焼く時に使った肉汁と油たっぷりのフライパンに火をかけて、ソースとえのきを入れる。良い感じに沸騰したら、全体的に混ぜてえのきが柔らかくなったら、火を止めて、皿に移していたハンバーグにソースをかける。

ハンバーグの近くに先ほど茹でたブロッコリーと人参を添えれば、ハンバーグの完成。


「よし、机に並べるか」


ガチャ


ハンバーグを並べようと、皿を持ち上げたら、玄関から鍵が開き、扉が開く音がした。


「たっだいま〜!」


「母さんだな」


声の主を聞いて僕は、冷静になり持っていた皿をテーブルに置く。置いたらひとまず玄関に向かった。向かってすぐに母さんに声をかけようとしたら、他にも人影があった。


「おかえり、そろそろ出来てるよ〜、って、父さんに姉さん達も居るんだ」


「うん、たまたまそこで会って!」


「私達は駅で父さんとバッタリね、会ったの」


「そうそう、てか、この匂い。ハンバーグだね!」


「そうだよ。ぁ、ポテサラ何だけど、莉桜姉さんのだけ冷奴にするけど良い?」


「むしろお願いします!!」


「美愛は、今日は配信の日じゃなかったか?昨日言っていたが」


「うん。でも、ちゃんとやれたから、大丈夫!父さん心配ありがと」

「さ、早く上がって、あとは冷奴作るだけだから」


「「「「はーい/あぁ」」」」


そう言って、みんな家に上がって、各自部屋に行った。母さんこと、天咲美琴あまざきみことは今年で50歳になるが、年齢を言うと周りから驚かれるほど若々しい。身長は150cm半ば、6人の子を育てた主婦。あと、大のオシャレ好きである。良い感じで老けている。一見30代後半、40代前半に見える事が多い。可愛い。父さんこと、天咲蓮介あまざきれんすけは今年で52歳になり、寡黙で優しくあまり言葉にはしないが家族思いで、夫婦仲は絶好調である。愛妻家で大胆に愛を伝える。身長は180cm代と大柄で、初対面の人にビビられる事が多いが、男前。昔も今もモテる。

そして、次女である天咲莉沙あまざきりさは24歳。コスメブランドのデザインを担当していて、絵が得意。僕が使っているコスメである。優しく基本冷静、性格面で言えば父さん似。年下の彼氏が居て、溺愛している。身長は160cm代と高めな方。綺麗系美人、容姿端麗と言う言葉が似合う。次に、天咲莉桜あまざきりおは19歳。1番歳の近い兄弟で、明るくて元気、実は大のビビりなのと、辛い物が苦手である。冷奴は勿論、豆腐料理が好きである。気になっている人がいるらしい。実は人見知りである。身長は150cm代と、母と同じくらい。笑顔が似合う可愛い系美人。甘えるのが得意。

あと1人、一緒に暮らしている兄が居るが、今は居ないので今度紹介。

何て頭の中で考えながら、僕は豆腐を冷蔵庫から出して、長ネギやかつお節、生姜チューブを出して、皿に豆腐を乗せてポン酢をかけて、長ネギを切ったのを乗せてかつお節をかけ、チューブを少し乗せたら、完成。


完成したら、姉さんのテーブルに置き、ポテサラを菜箸を使って小鉢に入れて、余ったのは小さい皿に移して冷蔵庫を入れて、ポテサラもテーブルに置いたら、2階から母さん達が降りてきた。


「手伝おうか?」


「ん〜、なら莉沙姉さんは箸を並べて、あとはご飯とお味噌汁注ぐだけだから」


「分かった」


「ねぇ、私は?」


「莉桜姉さんは大人しく、椅子に座って」


「えっ?、、、、はぁい」


「ぁ、父さん、ビール飲む?冷えてるよ?」


「あぁ、飲むよ」


「OK〜、母さんも椅子に座っててね」


「分かってるわよ」


何で言いながら、僕は各自色んな事をする。僕はご飯とお味噌汁を注いで、テーブルに置いて、父さんビールとコップを渡したら、いざご飯の時間になり、


「「「「「いただきます」」」」」


そう言ってみんな、ご飯を食べ始めた。


「アムッ うまっ!流石、美愛みあ、あたしの誇り!」


「うん、美愛の作るハンバーグはいつも美味しいね」


「姉さん達ありがと、ま、母さんから習ったのを、僕なりに改良したりしてるだけだし」


「うちの子って全員本当可愛いわよね。ねっ、貴方」


「あぁ、美琴みことに似てな」


「へっ?、、、、//もう、貴方たら!」


「ママ、あたし達の前でイチャつかないでよ。まぁ、仲が良いのは良い事だけど」


「ま、限度があるけどね。んっ、このポテサラ今回ベーコン入れた?」


「うん、ウインナーなかったから、次はウインナー入れる」


「ありがと、こっちも美味しいけど、私はウインナー派」


「あたしは断然、ベーコン派!」


「私もベーコン派かしら、お父さんは?」


「俺は、、、、ハム派」


「おっと、新たな勢力が生まれたぞ笑、因みに僕はウインナー派です」


何て家族団欒しながら、ご飯を食べ進めて気付けば僕は食べ終わっていた。ご馳走様と言って、食器をシンクに持って行き、洗おうとしたら母さんに声をかけられた。


「ご馳走様、よし」


「ぁ、美愛、食器は私が洗うから、貴方は1番先にお風呂入っちゃいなさい」


「へ?でも」


「良いから、今日は夕飯作って貰ったし、良いわよね?3人共?」


「「「意義なし」」」


声を揃えて言う3人の迫力に負けて、僕は食器を母さんに任せて、2階に上がって、下着やパジャマ、タオルを持ってお風呂場に行き、お風呂に入った。

一通り、シャンプーやリンスをしたあと、湯船に浸かる。


チャプン


「はぁ、、、、はる達は幸い気付いてないけど、いずれ気付かれたりするよね〜」


湯船に浸かると、配信者としての悩みが口に出ていた。配信者としての1番の悩みは身バレである。特に僕なんかは性別公表してないし、バレるのを1番恐れているところがある。

良く、両親や姉兄達に聞かれる事がある。それは、「どっちが本当の美愛?」と、普段の僕と配信者としての美咲は全然違う。

僕自身は多分どっちも本当の僕なんだと思う。

女顔で小柄な体格、名前も女の子っぽいのが昔からの悩み、コンプレックスだったし、それで良くいじられたりした、だけど可愛い物や服が好きだし料理やスイーツ作りだって好きだった。

なら、何で配信者をやっているかと言うと、ある人に勇気を貰ったから、それが僕が大好きなブランド【エンジェルデビル】のデザイナーの根崎千尋ねざきちひろさんだ。

4年前にブランドが出来た時に大々的に雑誌で取り上げられてて、僕もデザインが好きで最初の服が出た時すぐに買った。デザインを見て、最初はデザイナーさんは女性だと思っていた。だけど、ある日出た女性誌にデザイナーさんのコメントが書かれていた。そこには、

「根崎さんは男性ですが、何故この様な可愛らしい服のデザインを描こうと思ったのですか?『性別なんて関係ないんです。好きになった物、可愛いって、カッコいいって思った物に理由なんて必要ない。だから、男性でも女性でも着れる服を俺は作りたい。男の俺が作るから意味があるんだと思います』そうですか。素晴らしいですね」

そう書かれていて、僕は凄く感銘を受けた。そして、その言葉で僕は勇気が湧いた。好きだって思った事をやり続ける事に理由なんてないんだって、思えたし好きな事を頑張るのだって良いんだって思えたんだ。


それから、僕は料理やスイーツ作りを頑張った。家族や友人達に食べさせたりした。そこは、まぁ全然友人達に変に思われなかっただろう。だけど、アクセ作りとか、女の子の格好してるとかはまだ、友人達に言えてない。変に思われたらどうしよう。嫌われたらどうしようって事で頭の中が埋め尽くされてる。だから、僕はネットと言う環境で好きな事をやる。

今の自分の姿や特技を活かすなら、女装をする方が良い。それに、配信者をやってからは両親達や友人達から楽しそうとか、笑顔が増えた、って言われは事が増えた。今の僕が輝く、活かす方法はこれしかないし、女装が少し楽しくなった。そう思わせてくれた根崎千尋は僕の恩人だろう。

雑誌で見た根崎千尋は一言で言えば、美人イケメン。髪は長めでハーフアップをしてて、ツリ目でクールな雰囲気を纏っていた。大学生らしく、童顔だと思える。

もしかしたら、いつか友人達に言えるかもしれない。その時のために少しでも変って思われないために。

僕はカッコ良くもなりたいし、可愛くもなりたい。別に、女の子になりたい訳でもない。好きなことを好きで居続けために隠しているんだ。


「美愛〜、そろそろ上がって〜!明日早いから〜!」


「はぁい〜」


そう莉桜姉さんの声が聞こえたので、僕は急いで湯船から上がって、お風呂場を出てタオルで体を拭き、髪を拭いて、下着を着てパジャマも着て、洗面台で歯磨きを最後にしたら電気を付けずに部屋に戻り、ベットに寝転んだ。すると、疲れていたのか、瞼が閉じていった。


「もし会えるなら、根崎千尋僕の恩人に会いたいな」



何て、呟きながら、僕は眠った。






















まさか、この言葉が叶うとは思わずに、、、、









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