電話
私は栄太郎という名前です。
そんな私が体験した話をひとつ。
私は小学五年生の頃、初めて携帯を買ってもらいました。周りの友達は皆持っておらず、そのことを話すといいな、と羨ましがられました。
そんなある日、一人の友人が親のお下がりの携帯を持っているから、今日の放課後電話かけるね、と彼の電話番号を聞きました。
私は何事もなく家に帰り、手を洗っていると着信が来たのです。お、来た!と私は携帯のある場所へ急いで向かいました。
非通知なんです。
私は絶対友人だろうとその電話を許可しました。
まずもしもしー?と私が問いかけたのです。
それでも応答がなく、もーしもーし?と友人に向けての問いかけをしました。
すると音が徐々に聞こえてくるのです。
お経を唱えているような声、お葬式の時のアレです。
私はまだ不思議だなとしか思いませんでした。
だんだんと音が大きくなります。
その時にはもう耳元でした。
すると受話器の向こうから
「エイちゃん」
と女性の声が聞こえ、私が慌てて切ったのか、切られたのか忘れてしまいましたが、恐怖のあまり足が震えたのを覚えています。
よくよく考えてみると、私のことをエイちゃんと呼ぶ親戚や知り合いは生きていましたし、親戚であれば何かあった時にと電話帳に番号を登録してたのです。
今でも非通知の電話が来るたび冷や汗をかきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます