電話

私は栄太郎という名前です。

そんな私が体験した話をひとつ。

私は小学五年生の頃、初めて携帯を買ってもらいました。周りの友達は皆持っておらず、そのことを話すといいな、と羨ましがられました。

そんなある日、一人の友人が親のお下がりの携帯を持っているから、今日の放課後電話かけるね、と彼の電話番号を聞きました。

私は何事もなく家に帰り、手を洗っていると着信が来たのです。お、来た!と私は携帯のある場所へ急いで向かいました。

非通知なんです。

私は絶対友人だろうとその電話を許可しました。

まずもしもしー?と私が問いかけたのです。

それでも応答がなく、もーしもーし?と友人に向けての問いかけをしました。

すると音が徐々に聞こえてくるのです。

お経を唱えているような声、お葬式の時のアレです。

私はまだ不思議だなとしか思いませんでした。

だんだんと音が大きくなります。

その時にはもう耳元でした。

すると受話器の向こうから

「エイちゃん」

と女性の声が聞こえ、私が慌てて切ったのか、切られたのか忘れてしまいましたが、恐怖のあまり足が震えたのを覚えています。

よくよく考えてみると、私のことをエイちゃんと呼ぶ親戚や知り合いは生きていましたし、親戚であれば何かあった時にと電話帳に番号を登録してたのです。

今でも非通知の電話が来るたび冷や汗をかきます。

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