ありもしない話

友人から聞いた話だ。

そのイベントは夜通し続き、若者が浴びるように酒を飲み、その場を楽しんでいた。

彼も夢中になり、大きな音を全身に浴び、大いに盛り上がった。 

イベントは程なく終わり、打ち上げと題しそこからまた酒をたらふく呑む。そんなようなイベントなのだ。

地面に座り込むほど酒の力をもらい、3人ほどで談笑している。そんな時、ある人がとある心霊スポットに行ったときの話をした。それは怖い話だったという。

むしろそのあとが怖い。

朝になり、陽を浴びた彼らは会場を後にし家路に向かう。そんな時彼は「あの話、怖かったですよ、見ちゃったんすね」とその話の語り手に言った。

すると、間髪を入れずに

「俺そんな話した?」

と返ってきたのだという。

すぐ近くにいたもう1人も聞いてないという。

酔っ払っていたのかと、昨晩の記憶を遡るが、やはり話していた。どう思い出してもその場面があるのだ。

それから何ヶ月か経ち、またイベントが行われ、友人はまたその話をした。

やはりその話はしていない。誰も聞いていない。

思えば思うほど気味が悪くなってきた。

もしかしたらもう一人、その場にいたような。

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