獣の襲撃

「ふむ、そうですか…できるならそうしてもらいたいのですが、出来るのですか?」

「できますよ。バルフェスさんがいればこそできる計画ですが。」

「どういう事ですか?」

「実は俺はハーバーグの出身なんだ。で、この2国間の戦争でハーバーグ劣勢、というかほぼ負けているのは知っているだろ?」

「知っている。」

「俺はベレスティアナという集落の出身なんだが、この村が襲撃されたらしいんだ。」

「へえ。」

「そしてそこに行って難民に協力を呼びかければ、人をある程度は確保できるということか?」

「そうです。」

そんなに都合よくいくとはあまり思えないが…まあ彼にお願いしてみよう。

「じゃあ、お願いします。」

「では我々はここを旅立ちます。それでは!」

「いい報告を待っています。それでは!」

なんて、そんなこともあったのだが…

建設が現在あまり進んでいないのである。なぜかというと

大工がほぼいない。

小さな家でも数人でやって7日はかかる。そんなところに領主の館でも建てようとすれば1ヶ月はかかる。だからまず最初に小さな家を建てることにする。

5人くらいで7日あれば一軒の小さな家ができる。木材は買ったものも含めて足りるだろう。

ということで、自分含めたほぼ全員で小さな家を建設することにした。

「状況はどうなっているんだ?ゾルフ。」

「ロバーツ様、現在家は12軒建ちました。三週間経っているので、まあこんなものかというものです。ですが問題があります。」

「なんだ?」

「その…彼ら本職が冒険者だとか採集者だとか木こりなどなので、強度に不安があるのです。」

「ああ…」

その問題は自分も懸念していた。大工が作るならともかく、全くの初心者が作る家なのだ。精々壁と屋根がある程度の家がやっとだろう。ちなみに足場はミラーチェさんが土で作っている。ただ思いっきり走ったりすると足場が崩壊するので注意だ。実際にハンは走ってしまい怪我をした。

「慎重に建築をしないといけないと感じました。」

「ハンさん、そもそも騒がないでくれ。」

だがしかし、実際建設はうまく行っている。このままいけば…

「大変ですロバーツさん!」

「どうしたんだ?」

「獣が襲撃してきました!」

「なんだって!?」

獣のことを忘れてしまっていた!大人しかったから記憶から抜け落ちてしまっていた。

「今の状況はどうだ?ジョージ。」

「現在冒険者の皆様が対応しています。」

「フィレオと俺とウィリアムズも援軍に行く。伝えてくれ。」

前線はどうなっているんだ?それを考えながら走って向かう。途中でフィレオとウィリアムズも呼んで援軍に向かうと…

おおよそ15匹くらいだろうか?その狼に囲まれて応戦している3人がいた。10匹くらい狼がたおれているので、結構頑張っているのだろう。

「援軍に来たぞ!」

「ありがとうございます!」

「これは買ったら焼肉だな!」

「酒も追加で!」

「真面目にやれ!援軍ありがとうございます。さあ行きますよ!」

「貫け、ウッドショット!」

魔法で生成された木が狼を貫く。2匹倒れた。

「双剣の攻撃の多さってやつを見せてやりますよ!」

「食らえっ」

2人の攻撃で5匹は倒れた。次は自分たちの番だ。

「当たれ!」

外れる。

「当たってくれ!」

当たらない。

「当たれえええ!」

ウィリアムズ渾身の叫びにより1匹弓で狼が倒された。

「切る!」

「俺は突かせてもらいますよ。それ!」

俺とフィレオの攻撃で3匹狼が倒れる。

…残りは4匹だ。

「ええい!剣で斬り倒してやる!」

ウィリアムズの攻撃で2匹が倒れた。

「締めさせてもらいますよ。食らえ!」

チャルストンの攻撃で2匹が倒れた。

狼を全滅させることに成功した。

「やっぱりお前弓より剣を使ったほうがいいんじゃねえの?」

「馬鹿を言うな。俺は弓が好きなんだ。」

「リーダーとしてはしっかり得意な武器を使って欲しいですね。」

「なあ、ちょっといいか?」

「なんですかアルフレッド。」

「ここに訓練場とかって、なくないか?」

『あっ』

「えっ」

「そ、そういえば忘れてしまっていた。」

「なんか頭から抜け落ちているなと思ったら、それか。」

「盲点でした…」

「確かにそうだな」

「と言うかそれを言うなら壁とかも作るべきですよ。いつどんなやつが来るかわからない。」

『……』

自分たちの防犯意識の薄さや安心しすぎに、『俺たちは馬鹿だった…』と思う6人なのであった。

そして二週間が流れた。

「リーダー、報告です!」

「なんですかゾルフさん。」

「すべての住居が完成しました。」

「教えてくれてありがとう。ハン、全員を…そうだな、俺の仮設テント前に呼んでくれ。」

「了解です。」

1時間後

「みなさん、全員の家が完成したことにより我々は安住の地を得ました。」

別に差別なんてされてはいないが、例えのようなものだ

「みんなは大辺境をこの地を中心に開拓しようと思ってついてきてくれた。だが我々に敵意を持つものたちがいずれ現れるだろう。そのために、我々は訓練をしないといけないと感じた。

よって、壁の建設作業や街を守るための訓練などを行うこととする!」

「どのような訓練でしょうか?」

「いい質問だチャルスペ。主に3種の訓練に分かれている。

剣術

弓術

槍術

この3つの基本的な戦闘方法を訓練することにする。」

「わかりました。」

「この街を守るため、共に努力しよう。」

『ああ!』

『わかりました!』

この街を守り抜くために、大切なことをやり遂げないと…

大陸歴631年、9月

大辺境では、小さな集落が生まれた。だがその集落は少しずつ、だが確実に発展していくことになるだろう。

                  ロバーツ・チャールスペー

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