ロバーツ・チャールスペー隊ができるまで その2

俺はもう5人のところに行くことにした。

「調子はどうだい?カール、ペテロ、ソーラー、アーネスト、フィレオ。」

「呼び捨てにされるのは癪だが、案外楽しいな。」とカール

「早く場所を見つけてほしいね」とペテロ

「生き残れるか心配です」とソーラー

「きっと大丈夫だよ。大丈夫…」と励ますアーネスト

「偵察に行った結果は何もありませんでしたよ。それより食事は?」とフィレオ。

この5人は俺の友人だ。

実際誘ったのはカールとペトロとソーラーとアーネストだけだったのだが、フィレオもついてきた。

回想

「久しぶりだなカール」

「久しぶり。それで話って?」

「大辺境の開拓に協力してくれないか?」

「急だな」

「まあいきなり言ったわけだしな。」

「俺自身冒険とかに憧れている側面はあるし、同行したいんだが、一つ条件がある。」

「なんですか?」

「ペトロも同行させてくれ、彼はさまざまな職の経験がある。絶対に開拓に役立つだろう。」

「ああ、わかったよ。」

そして時間は経ち…

次はペトロと会う予定だ。昔仲が良かった時は陽気な人だった。

「こんにちはペトロ。」

「お前は、ロバーツか。4年くらいぶりか?聞いたぜ。大辺境を開拓するって話。」

「ああ、聞いてくれましたか。そうだ。そのカールからの推薦で今勧誘しているんだ。」

「やっぱりカールか。あいつ俺のこと買いすぎだぜ。ただしっかり知識を得てからやっぱやめたと職を辞めているだけなのに。」

「なぜそんなことを?」

「簡単なことさ。飽き性なんだよ、俺。だから何もできない器用貧乏だって言ってんのに。」

「いいや、器用貧乏だってこの開拓には非常に重要なんだ。むしろそんな人材の方が必要だ。」

「ありがとうチャールスペー。俺も一緒に行かせてもらうぜ。」

「よろしくな。」

次に経緯を紹介するソーラーとは、子供以来の付き合いである。彼女はお淑やかで優しい女性なのだが…

「ふんっ」

メリメリ、ドサッ

彼女はきこりなのである。というか怪力である。絡んできた人1人を簡単にノックアウトできるほどの力がある。なのに臆病なのである。全く訳がわからない女性だ。だが、この困難な旅には絶対に必要な人だ。

「変わってませんね。ソーラーさん。」

「それは褒め言葉として受け取らせていただきます。どうしたんですか?いきなり尋ねてきて。」

「ああ、お願いがあるんだが、」

「うん。」

「大辺境に行く仲間になってくれないk」

「いやです。」

「いやいやお願いしまs」

「絶対無理ですよ!いかれているんですか?」

まあ、そんな考えが普通なんだけど…なんとか説得しないと。

彼女は木こりだ。大辺境に入って基地を作るにも村をつくろうにも彼女の力がないと難しくなる。一応ミラーチェさんが木魔法を使えるのだが…

魔法で作られたものは基本的に耐久が低い。ただの木を切るのと魔法でできた木を切るのではむずかしさが違う。圧倒的に魔法でできた木の方が脆いのだ。

「ともかく、辞めといた方がいいですよ。死んでほしくはありませんし。」

「本当に、いいのか?」

「えっ?」

「本当にそんな臆病なままでいいのか?変わりたいとは思わないのか?」

「そ、それは、変わりたいですけど。」

「知ってるか?こんな言葉、やらぬ後悔よりやる後悔、挑戦してみないか?」

「やってみたいです!」

や っ た ぜ

「よし、言質とったからな。」

「ちなみにどこら辺まで行きます?」

「植民することが目標です。」

「…は?」

「だから植民するのが目標だって。」

「『大辺境に行く』としか言われてませんよ。」

「…計画通りだ。」

「はかりましたねチャールスペー!」

この後、説得に5時間かかった。

回想終わり


「食べれそうな植物とかを持ってきたぞ。」

「おお、ありがとよシエリー!って早すぎるだろスヴェラ!」

「なんとしてでも種を持ってかないと…」

「スラム育ちとは思えないほどの人たちだな。」

「見捨てられたくないんじゃないか?チャルストンさん」

「チャルストンでいいぜチャールスペー」

シエリーとスヴェラはもともとスラム街に住んでいた。噂はスラム街にも届いてたらしい。が、することが恐ろしく困難なことだったため誰もついてこないと思った。だが違った。

「なあ、あんたロバーツか?」

「そういうあなたはスラムの住人のようですが、どうしたんですか?」

この世界のスラムというのは、基本的に郊外に簡易住宅やらテントやらを立てているものである。働いている人も一部はスラムに住んでおり、多少不便だがあえてこっちを選ぶという不思議な人もいる。

「どうしたんですか?」

「あんた、大辺境を開拓するっていうんだろ?」

「それでどうしたんだい?」

「お願いがあるんだ。大辺境について行きたいんだ。」

「えっ」

物好きがここにもいたよ…すごい人ですね、この人。

「へえ、つまりあなたは自分について行きたいんですか?」

「いや、もう1人いるぞ。」

「は?」

聞くともう1人ズヴェラという女性がついてきたいらしい。だが彼女は人見知り(この世界に人見知りという言葉はないが、そんな様子だった)らしく、2人がついて行きたいというため頼んでくれるかとお願いされたらしい。

「私には夢があるんだ。」

「なんだ?」

「子供の時なんだが、すごい採集者がいてな、私はブルヴェロ出身なんだが、」

ブルヴェロとは、主人公が出発した都市から40kmくらい離れたところにある街である。ちなみに主人公が出発した都市はアレグ・ロトーレという都市である。

「採集者になって、下積みをしたのまではいいんだが、ブルヴェロの周りの採集物がほぼなくなって仕事が消えちまったんだ。それでズヴェラと共にこのスラムに来たんだ。」

「そうなんですか。」

「どうだ?入れてくれないか?」

「いいですよ。因みにズヴェラさんに会わせてもらうことってできますか」

「ありがとうよ。いいぜ。」

そして時間は流れた。

「こんにちは」

「こんにちは」

「で、あなたも開拓に参加したいって人ですよね。」

「はっはい」

「あなたは昔何をしていましたか?」

「農家です。小麦を主に育てていました。だから食料繋がりでシエリーと仲がいいんです。」

「じゃあお願いするよ。大辺境へとついてきてほしい。いいか?」

「いいぜ。」

「いいですよ。」

回想終わり


「ふう、早く戻ってきてくれないかな」

「おーい、チャールスペー」

「遅かったね、ウィリアムズ。」

「いやー遅れちまったよ。いろいろと土地調べるのなんかやったことないし、無茶言わないでくれ!」

「ウィリアムズー食事だよー」

「ありがとうアーネスト。」

回想

「ウィリアムズーお願いがあるんだが。」

「どうしたんだい?」

「大辺境の開拓に付き合ってくれないか?」

「いいぜ。」

「お前正気か?」

「だってお前と俺の仲だろう?しかも面白そうじゃないか。」

「まあそうだけど…」

「だからお前の役に立てるんじゃないかって話だ。一応弓はできるし本業はパン屋だけどいろいろと俺がやれることは知っているだろ。」

「ありがとう。心強いぜ。」

「他にもう一人ツテがあるんだが、勧誘してみるか?ロバーツ。」

「ああ、やってみる。お願いするぜ。」

数日後

「こんにちは」

「こんにちは。あなたがあの大辺境を開拓しようとする…」

「ロバーツ・チャールスペーだ。」

「ロバーツさん、あなたはどうして大辺境を開拓しようとしているのですか?広い土地はこの国は十分あるでしょう?」

「じゃあその理由を話させてもらうよ。」

ロバーツ・チャールスペーはただ転生者と言うだけの少年であった。だが彼は大辺境に興味が湧き近くに行ってみたところ、不思議な虫があることに気づき追い始めた。

そして迷子になった。

彼は冷静に脱出しようとはしていたが、この大辺境の森から脱出する策を考えようにも考えられなかった。

すると人の声がした。明らかにこのような声はヴェスタニカ語ではないが、藁にもすがる思いで話しかけた。

「大丈夫か?」

意外なことにプファルト語で話しかけてきたのである。(プファルト語は帝国で使われていた言語の一つ)彼はプファルト語を多少知っていたので、

「助けてください」

そう話した。

そうされて、野営地らしきところに連れてかれ、そしてそこで一晩を過ごした。

「ありがとう」と感謝したら彼も

「楽しい話ができたよ」そう言ってくれた。

彼に自分は感謝したのだ。プファルト語なんてまともに使われていない言語を使っている人がいたことは自分は覚えている。彼に恩返しをしたいのだ。

このようなことを話した。

「そんなことがあったのか…」

「ええ、分かりました。私も協力します。恩返しのために命の危険を気にせずに努力するということは、並大抵ではできないことでしょう。」

「ありがとう。」

回想 終わり

「ロバーツ!」

「なんだフィレオ」

「平地を発見したぞ。」

「よくやってくれたフィレオ。ありがとう。」

実はフィレオのことは勧誘していなかった。なんか勝手についてきた人だ。

最初の数人が集まってきたところで唐突にやってきたのだ。

「旦那、なんかやってきましたぜ。」

「どういうことだゾルフ?」

「あ、なんかきてますね。」

「お前もかムーフ」

「ちょっ、これ指示できる立場じゃないんですけど逃げるべきではないんですか?」

「ヴィルスィ、本当か?じゃあみてみるか…本当になんか来てんな。」

「そこの人ーちょっと来てくれませんか?」

「じゃあ、行ってきますね」

「大丈夫かあ?」

「多分大丈夫でしょ。アルフレッド」


「面白そうなことを話してましたね。いれてくれまs」

「いかれてんのか?」

「えー衛兵ですよ。偵察もできますし槍も使えますよ。だから入れてください。」

「それはいいんだがなんでそんなことを…」

「だって面白そうじゃないですか。」

「あなた、考えなしって言われた事ありませんか?」

「すごい、なぜ当てられたんですか?」

「な、なんとなく(誰でもわかるわそんなもん。)」

そんなことであれこれありながら、探検を始めることになったのであった。

「そうか、平地を発見したのか、全員を呼んできてくれないか?」

「了解です」

1時間後

「さて、今回あなた方に集まってもらったのは他でもない、入植するべき土地が見つかったからだ。」

ザワザワ…

「はい」

「どうしたソーラー・カステロス?」

「その地には魔物がいますか?」

魔物、それは人間の因縁の相手とでも言うべき存在。それに対抗する主な手段が魔法である。因みにただの物理攻撃でも倒せる。

「いいや、いないぜ。なにか不思議なくらいにいないんだ。」

「返答ありがとうフィレオ・アヴェレンスト」

「さて、我々は今からここに植民する。ここが我らの新しい都市となるのだ。」

「そうしたら名前をつけないといけないんじゃねえか?」

「そうだな。入植するなら都市の名前をつけないと。いい意見だぜアルフレッド」

「じゃあヴェストシティとかどうだ?とかどうだ?我々はヴェスタニカ人なわけだし、入植地としてはこれ以上ない名前の都市だと思うぞ。」

『賛成だ。』

「さて、これからここをヴェストシティと名づけ、入植する!万歳!」

『万歳!』

このように、新たな都市、ヴェストシティが築かれ始めたのであった。


チャールスペー隊改めヴェストシティの村民

16人

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