第一章 辺境開拓の始まり

ロバーツ・チャールスペー隊ができるまで その1

「チャルストンさん、広いですねこの森この森。」

「そりゃ広いでしょうよ。なにしろ"大辺境"ですよ?」

「面白くなってきたなあ!」

「アルフレッド、まだ序盤も序盤でしょ。」

「ノリ悪いな、ミラーチェ」

彼、ロバーツは転生者である。前世は安田博一という名前であった。だがしかし特に目立った得意なことはない。科学などは高校ではあまり良くできなかった。どちらかというと下から数えた方が早かった。

そして大学は情報工学科に入った。楽しかった。そして彼は普通の企業に就職した。

28歳の頃だったのだろうか?唐突にこの世界に転生した。父は病弱だった。だからこんなに早く亡くなってしまったのだろう。母は優しかった。だが、流行病にやられて死んでしまった。

そして大辺境の話を聞いた。彼にとって、珍しく興味をひくような出来事だった。そして俄然興味が湧いてきた。前世のゲームの経験で酒場などに行ってみれば仲間が集まるのではと思った。

現実は甘くはなかった。大辺境を開拓するなんて言った瞬間まともに取り合ってくれなくなった。まあ当然かと考えた。


金は親からの遺産で多くある。さて冒険者でも頼ってみるかと思った。

回想 酒場 陽気な旅人にて

「やあ、そこの人、面白そうなこと話してるな。」

「えっ」

まさかこんな馬鹿みたいなこと(一般論)を面白そうなことという人がいるとは…すごいな

「ああ、さっきの話を聞いていらっしゃったのですか?"大辺境"を開拓するという話を」

「ああ、聞いてましたよ。それにしてもすごいですね。大辺境を開拓するなんて。」

「意外ですね。すぐ何言っているのかわからないような反応をしない人がいるとは思いませんでした。」

「それは褒め言葉として受け取っておくよ。」

彼から話を聞いた。彼はチャルストンという名前で、彼は3人でパーティを組んでおり、パーティ名はヴェスタニカの戦士達。ちなみにヴェスタニカというのはこの国の名前だ。お世辞にもこのぐちゃぐちゃと国家が点在するこの地域で強国とは言えない。そうして話が盛り上がった俺たちは他の2人と話すことになった。

まずアルフレッド。チャルストンからは陽気なやつと言われた。

「こんにちは。」

「よお。あんたがあの大辺境を開拓しようとしているやつっていう…」

「ロバーツ・チャールスペーだ。」

「すごい壮大な夢だな!面白い!気に入ったぜ!」

「わあ、すごく展開が早いですね…」

「だって前人未到の”大辺境"を開拓しようっていうやつなんだぜ?面白いに決まっているだろ!」

「あー、アルフレッドさん、あなた時々考えなしとか楽観主義者とか言われたりすることありません?」

「えっ、なぜわかるんだ?」

「誰でもわかるぞ(なんとなく…)」

本音と建前が逆になってしまったが、彼は本当に陽気らしく、こんな失言をやらかした後でも陽気に話してくれた。こんなところが彼が楽しくやれている要因なのだろう。羨ましいと思った。

次はミラーチェさん、アルフレッドさんに言わせてみれば、少し生真面目なやつらしい。いい意味でらしいが。

「こんにちは」

「こんにちは、あなた、あの大辺境を開拓しようとしているの?」

「ええ、本当ですよ。」

「やめておいた方がいいですよ。命あっての物種という言葉もありますし。」

当然こんな反応も来るとは思ったが、実際言われると反論のしようがない。間違いない。この人、筋を通して話すことが得意な人だ…

「ですけど、この大辺境にはいろいろなものがあると思われるんです。」

「その根拠は?」

「…」

「ノーコメント、というわけか。」

「まあ、そうなってしまいますね。」

「聞きたいんだが、

どうして大辺境に固執するんだ?この国には未開拓の土地が多くある。そこを開拓しようとは思わなかったのか?」

「…皆さんをここに呼んでくれませんか?」

「?ええ、いいけど、」

5分後

「なんでここに呼んだんだ?」

「教えてくれよ」

「…何を話したいんですか?」

そして俺は、ある話をした。

『どういう事?』と疑問が当然出されたが、それの話をすると、

「わかったわ。私も大辺境の開拓に協力する。」

「ありがとう。」

「じゃあ、今から僕たちは仲間って事ですね。」

「酒でも飲まないかしら?」

「酒は4杯で勘弁してくださいよ。」

「賑やかですね!」

ハハハハハハハハ…

回想終わり

「皆様、食事の時間ですよ。」

「いやーありがと。ムーフ」

「それではもらいますね。」

「多いぞハンティトン!」

「あなたもしっかり食べてるじゃないですか。ヴィルスィさん。」

「ここでは奴隷も関係なく仲間だ!生き残るためには全員で頑張らないとだめさ!そうだろうズォルフ」

「自分はゾルフでございますよ。」

「美味しそうだな!」

回想 自宅

「ただいま、ハンティトン」

「おかえりなさい、ご主人様。」

彼はハンティトン。俺の親の代からいる奴隷だ。彼は遙か東の大陸出身らしい。

「なあハンティトン、ちょっと話があるんだが、いいかい?」

「お聞かせください。」

「君は大辺境を知っているか?」

「知っています、前人未到の地でしょう?」

彼は学識があるらしい。東で学んだからか自分が知らないことを知っているかれを奴隷の身と知りながら尊敬している。実際親父も

「彼は尊敬されるべきやつだ」

と言っていた。

「俺は大辺境を開拓したいんだ。」

「すごい考えですね。プランなどはあるんですか?」

「まずある程度奥に進んで平らなところに辿り着き、植民する。

それの繰り返しだ。」

「いいですよ。ですが…ふむ、」

何か考えているようだ。

「ご主人様、」

「なんだ?」

「奴隷を買いましょう。」

…ということで、俺たちは奴隷を飼うことにした。最後の3人をまとめ買いした。

それぞれゾルフ、ヴィルスィ、ムーフというらしい。ちなみにムーフは女性らしい。

自分についてきたら奴隷を解放すると言ったら案外簡単についてきてもらうことができた。

「よろしく」

「よろしくおねがいします」

「お仕えします」

「努力します」

「君たち、俺についてきてくれないか?遥かなる大辺境の地へまでもついてきてくれないか?」

『付いて行きます!』

「ありがとう。」

回想終わり

なんてことを思い出しながら、さらに歩みを進める。全てはどこにあるかわからない目的の地に向かうために。


結構長くしました。2日に一回はしっかり投稿したいです。

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