自称ロリ二十歳、異世界へ転移する~YES!ロリータNO!タッチ~

アスパラガッソ

第1話 ~宮殿から宮殿へ~

「フヒヒッ、今日も今日とてアニメ三昧!さいっこう!」


「千代里!アンタ親にニートさせて貰ってんだから、ちっとは職を探しなさいよ。手に職を付けろってお母さん何回も言ってるよね?」


「む、母上。勝手にこの我が宮殿My Sacred Areaに入って来るとは何事かね?」


「二十歳にもなってそんな子供みたいな喋り方。それだから面接で落とされるのよ」


「中卒でアニメ三昧、まともな教養が付くとでもお思いで?」


「そんなので誇られても、塵も積もれば山となるって言いますけど、あんたのその変な誇りが積もっても、山にすらならないでしょう?」


「母上、何と手厳しい。しかし我がニートを脱却することは無いと言うのに」


「あ゛、今なんて言った?」


「ひぅ、ごめんなさい……」


「ひぅ、じゃない!その珍妙な喋り方を直したら、少しは年相応になるというのに」


「いや、流石に外ではこの喋り方はしません」


「その洋服も家でしか着ないもんね」


「これは我を真のロリへと導く神装Divine Attire、それ故この宮殿Sacred Areaでしか装備できない宝玉級の装いであるのだ」


「アンタその下手な英語やめなさいよ。聞いてるこっちが恥ずかしくなって来る。それにアンタの使う英語、グルグル翻訳の直訳でしょ」


「はい残念今使った宮殿は直訳じゃあ~りません!正解は神域の直訳でしたぁ~」


「やっぱり直訳じゃない」


「ふん!ここから出て行って頂戴!わたくしは今から神聖なアニメを視聴するのですわ!しっし!ですわ!」


「はぁ、とりあえずタウンワーカー置いておくからね」


「あ~うんうん」


「まったく……」


 よし、行ったか、脅威は去ったのだ!皆の衆喜べ~い!フワフワ主人公美空儀美優みそらぎ みゆうがわっるい魔物をぴちゅぴちゅする、さいっこうのアニメを視聴するわよ~!


「はい、ポチッとな」


 その瞬間ディスプレイが黄金色(定かではない)に光り輝き、薄暗い部屋をこれでもかと照らし尽くした。


 ま、眩しい!まるでモンスターをゲットだぜする物語での、ポリポリショックを彷彿とさせるこの光使い、上級魔法か!?まさかの襲撃で目が痛い!


「あ、あぁ!目が!目があぁあぁあぁ…………あ?」


「おぉ、あの神聖な装い、勇者に違いない!」


「何と神々しいくも可愛らしい御方!」


 え、ここどこ?この立派な内装、周りの人の服装、まるで本物の宮殿に訪れたような……あれ、いつの間に私VRゴーグル掛けたっけ?


「みな静まり給え。さぁ、神聖なる勇者よ……悪の根源である魔王を討伐せよ」


「は?」


 あ・・・ありのまま 今起こった事を話すぜ!私は自室の宮殿でアニメを視聴していた。それからディスプレイが光り輝き、気付いた時には本物の宮殿に座り込んでいた。そして周りには神聖な服装をした人達と、推定玉座に座る年老いた老人(絶対に王様!)が、私に向かって勇者と、そして魔王を討伐せよと言ってきた。


 どゆこと?


「え、あのぅ……ここどちらで?」


「そうだな、ヤルンよ。勇者に説明を」


「はっ、王様、それでは勇者様、貴女は異世界から召喚された勇者です。そしてその勇者には魔王を討ち滅ぼす力があり、それを使い我々の国を危機から救ってほしいのです」


 あ~夢か。私はアニメを視聴していた間に寝てたんだ。だって、ありえないでしょこの状況、ドッキリにしては質の高さが半端ないし、一瞬にしてこんなところまで来てるって言う。この支離滅裂な状況は夢に違いない、そういえば夢の中でそれを夢と自覚したら、その中を自由に遊べるって話を聞いたことがある。多分こういう系のアニメや小説を読み過ぎて、いつの間にか私の願いが夢に反映されてしまってたんだ。


「よ、よ~し。頑張っちゃうぞ~」


 これはきっと夢に違いない、ならばこの夢、楽しませてもらうのが義理というモノよ!妃伊島千代里ひいじま ちより、異世界に出る!


 !


 いや~それにしても良く出来てる。私ってこんなに想像力が豊かだったっけ?夢から覚めたら、この夢を小説にして投稿しよ~っと。勿論美空儀美優が主人公の無双系を……そういえば、あのヤルンって人が勇者には魔王を討ち滅ぼす力があるって言ってたな、私にもそういう力があるのかな?あの王様に聞いて来ればよかった。いや、この世界が夢ならば、私の都合良く働いてくれるハズだ!とりあえずお城から出てスライムでも見つけますかね。


 私は王様から貰った金貨50枚が入った、地味に重い袋を持って城の外へ冒険に出た。


 やはり異世界と言えば冒険!イケメンな王子さまはいないけれど、私はそれよりも冒険の描写が好きだ。私が実際(夢の中)に冒険するとは思ってもみなかったけどね。きっとこの世界が私のご都合主義なのであれば、戦闘をしている最中にかっこよさげな詠唱をすれば、きっとスライムくらいなら瞬殺だと思う。


 それにしても凄いなこの街並み、私の妄想じゃヨーロッパ風の建築の再現は無理そうだと思ってたけど、この細部にまでこだわった汚れ加工が素晴らしい!まるで本当にこの場にこの建物が建っていたらしい説得力がある。人々の会話も適当なふにゃふにゃボイスじゃなく、イケボカワボなんでもござれの癒し空間だ!会話も噂や取引千差万別!本当に夢なのでしょうか。それにしては現実味がアリストテレス!


「こんにちは、門番さ~ん」


「む?これはこれは勇者様」


 お、もう噂は門番にまで伝わっているのか、夢の中での私はコミュ力が天元突破しているからな。こうやって知らない門番に話し掛けるのも朝飯前よ。


「外に行きたいんだけど、門を開けてくれるかな?キュルン!」


 どうだ?私の究極の上目遣いは!


「わ、わかった……門を開けよう。少し待っててくれ」


 ほ~ら見た事か、このヤマゾンで購入したピンク色のフリフリのロリータファッション+私の究極の上目遣い、きっと夢じゃなくても通用するハズのこの究極コンボは、モブの門番一人をいとも簡単に動かした!


「どうぞお通り下さい勇者様」


「ほっほっほ、苦しゅうない苦しゅうない……」


 いや~気持ちが良い!私は今この物語の中心にいる!光り輝いている!人生最高の瞬間2024年!……それが夢で良いのかよ。あ、今まで散々現実逃避して来たのに、この夢の世界で現実に戻ってどうすんだ!夢の中くらい自由気ままに過ごしたい!


 それにしてもこれが夢とは思えない、草原を吹く風、それに乗って香る土や草の匂い、そして引きこもりが久々に外を歩くと足の裏が伸びて痛い!ってそれも再現しなくて良いわ!夢なんだからハッピーで埋め尽くして!っとマジモンのスライムだ。


 キ、キモイ。リュウクエの原画のスライムみたいだ……確かに名前の通りのゲル状だけど、これってどこに攻撃したら良いんだ?とりあえず火魔法でも撃ってみるか。

 私はこの時の為に魔法の詠唱を考えてきたのかもしれない。


「我が魔力よ、眼前に立ちはだかる恐怖を明かし給え!オーバーヒート!……あれ?魔法が出ない……」


 私の計算では火魔法がドーンと出て、こんな雑魚のスライム何て、ピギャーって感じで蒸発する手筈だったのに……まさか手のひらから何も出ないとは、これは困った。ステゴロじゃスライムは倒せない、スライムは大抵物理に耐性があるからなぁ。


 王様から貰った金貨で剣くらい買うべきだったかも、ってスライムがこっちに来る!ど、どうしよう……


「もうどうにでもなれ!ハイパースーパーアルティメットギャラクシーチョーップ!…………わっぷ!?ごばばばば!」


 ま、マズい!チョップを繰り出したら全然効かなかった。それどころか腕伝いに顔にスライムが!い、息ができない……し、死ぬ!私の夢の世界厳し過ぎる!


「ごぼぼぼぼ!ごばぼーーっ!」


「アイシ―――ッジ!」


「ぶは~!げほゲブッ!おぇ゛え゛……」


 た、助かった!危なかった……この青髪のロリが助けてくれなかったら絶対死んでた。夢の中の癖になんでこんなに苦しいんだよ!ふざけんな!甘々な世界で楽しませろや!本物のロリの時に水泳の授業でおぼれたのを思い出したわ。いや、今も心は5ちゃいなんだからね!ぷんぷん!


「ぜーぜー……ほ、本当に助かったよ……死ぬかと思った」


「大丈夫?怪我は無い?」


「ご、ごめん。大丈夫だけど、ちょっと息吸わせて……」


「効くか分からないけど、一応ヒール掛けておくね」


「ヒール?」


「あぁ慈悲深き自然の摂理よ。かの者に少しの癒しを分け与え給え……ヒール」


 え、はっず!他人が真剣に詠唱してるの見るのスゲー恥ずかしい!って本当に疲れが取れた感じがする……ま、魔法ってスゲー!夢ん中最高!魔法ってスゲー!


「助けてくれてありがとう、青髪のロリっ子よ」


「ロリっ子~はよく分からないけれど、助かったなら良かったよ。ところでスライムにやられるくらい弱いのに、なんでお城の外で歩いてたの?」


 メ、メ〇ガキはそこまで好みじゃないけど、この純粋な罵倒ッ効く~!好きになっちゃいそう!い、いやいやいや……YES!ロリータNO!タッチでしょう!ここはとりあえず答えないと。


「私冒険してみたくって……」


「分かるその気持ち、私も丁度貴女みたいな背丈の時に同じ事思ってたよ」


 あの~私腐っても二十歳なんですけど、ってそうだ!そうだよ。何か今まで違和感があったんだよ、そう私ロリを自称するくらいには背が低いんだけども、実際こんなに低くない!多分夢の作用で私が渇望するロリになってるんだ!流石私!分かってるぅ!


「でも流石に危ないよ。ほら、お城に戻ろう?」


「あ、いやYES!ロリータNO!タッチなので」


「何言ってるの?早く行くよ」


 ん、待てよ?YES!ロリータNO!タッチ?私もロリータならYES!タッチなのでは?


「フ、フヒヒッ……おてて、ふわふわ……」


「ひっ……あ、ごめん。やっぱり手を放してくれるかな?私、魔法は片手じゃ使えないから」


「私また迷子になっちゃう……」


「う、うん!そうだよね、ごめんね……それじゃあ帰ろうっか」


 こうして夢の中ではあるが、念願のロリのぷにぷにおててに触れたので、私はもうこの夢から覚めても良いんじゃないかと思い始めたのだった。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ということでここまで読んでくださりありがとうございます。


 ふと思い付きで執筆したので設定やキャラ立ちもそこまでですが、ここからボチボチと更新していくのでよろしくお願いします。


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