第4話

気が付くと、僕は病院のベットの上にいた。

そうだ。

誘い人に頼んで、願いを叶えてもらったのだ。


「変な願いだね」

「ほっといてくれ」

「で、その彼女はどうしたの?」

「知ってるんだろう?」


そう、彼女は星になった。

文字通りの星。


つまり・・・


彼女だけではない。

あの客席にいたギャラリーも、飛行場で出迎えた人も、全て・・・


「君を残して、死んじゃったもんね」

「ストレートに言うな」

「エヘヘ」


僕に願いは、彼女のいるパラレルワールドの世界。

そして、その世界を体験してみたかった。


「女優になりたい」

彼女の願いが叶った世界を体験したかった。


でも、もう遅い。

途中で会場から立ち去ったのも、そのためだ。


「じゃあ、行こうか。向こうでみんなが待ってるよ」

「ああ」


差し出された手を握る。

懐かしい感じがする。

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勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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