第2話 旅立ち

数日後。


俺は俺のスキル「無限メタルスライム」により、連日爆速でレベルアップしていた。


そして、俺のレベルは30になろうとしていた。


もはやこんなちんけな村に収まっていていいレベルではない。


俺は旅立ちを決意した。


「父さん、母さん、俺、旅に出る。

 これから旅に出て、いろんなものを目にし、経験していきたいんだ!」


「しかしな、ツグク。

 お前はまだ18。

 成人したとはいえ、父さんからしたらまだまだガキだ。

 一人旅など許せんぞ!」


出たよ、親ブロック。


ほんとにまいっちゃうよね、子離れできない親って。


「そんなにガキって言うなら、父さん。

 俺と勝負でもしない?」


父さんはこう見えても元王宮戦士。


剣の腕には自信がある様子。


その自信をへし折れば、俺を認めざるを得ないだろう。


「ん?この俺に勝負を挑むとは大きくでたもんだ。

 受けてたとう!」


父さんは俺のレベルを知らない。


俺は毎日夜通しレベルアップしてたんだぜ?


いざ、木刀による父さんとの勝負が始まった。


とおおお!!!


カキーン!!!


俺は一太刀で父さんの木刀をはじき、喉元に剣先を向けた。


「ぐぬぬ・・・。

 お前、どこまで強くなっている・・・。」


「父さん。俺はね、もう父さんの知っている俺じゃあない。

 俺だけレベルアップしてすまんね。」


母さんは泣いている。


変わってしまった俺を憐れんでいるのか、我が子が旅立つのが寂しいのか、はたまたその両方か・・・。


「好きにしろ!

 お前など息子ではない!

 もはや化け物だ!!!」


父さんはそう吐き捨てた。


あまりの俺の強さに、実の息子を化け物扱いとは。


まあ、無理もないさ。


人は信じられない光景を目にすると、化け物だの奇跡だのと、なにかとその事象をごまかすからな。


俺は旅立つための身支度をした。


すると、母さんが俺の部屋にやってきた。


「ツグク・・・。

 お父さんはあんな風に言っていたけどね。

 あんたが出ていくのが寂しいんだよ。

 素直に寂しいって言えないから、感情がぐちゃぐちゃになっちゃったのね。

 不器用なお父さんを許してあげて・・・。」


ふん。そんなこと、息子である俺は理解しているさ。


まあ、凡人には理解できない領域に俺は足を踏み入れつつあるという証拠。


そういう意味では、むしろ父さんの発狂は俺にとっては朗報だね。


「ああ、母さん。

 そんなこと、俺だってわかっているさ。

 でも俺は旅に出なきゃならん。

 子の強さを手にした者の義務みたいなもんさ。」


「うう・・・、ツグク・・・。

 あんた、立派になったね・・・。」


母さんは素直に俺の強さを認めてくれている。


いい母親を持ったものだ。


「母さん、なにも今生の別れでもないんだ。

 また会いに来るさ。

 それまで待っててよ。」


「ツグクー!!!」


母さんは泣きながら俺を抱きしめた。


こうして、俺は旅に出たのだった。


---


さてと、俺は王宮の城下町までの道のりを歩いていた。


当然、道中でも俺のスキルにより、メタルスライムはひっきりなしに出てくる。


そのたびに俺はムチでたたき、メタル狩りをした。


ムチは便利だぜ。


出てきたメタルスライムを遠隔で一瞬で狩れるからな。


まず俺は職を探さなければならない。


無職ではさすがにどうにもならん。


メタルスライムは経験値の足しにはなるが、腹の足しにはならんしな。


王宮に勤めるのが一番手堅いだろうが、絶対つまらないからやらない。


だって、王城の警護とか、無法者の取り締まりとか、そんなんばっかだろ?


必要な仕事だとは思うが、やりたいとは思えん。


やっぱり、冒険者をやるのが一番だよな。


ギルドに登録して、色々な依頼をこなしていくんだ。


そこにはいろんな出会いもあって、ハーレム築いたりなんかしちゃってさ。


想像が止まらないぜ。


そうして、俺は城下町のギルドに付いた。


「冒険者の登録をしたいんだが・・・。」


って、ギルドの受付嬢、くっそ可愛いな。


こんな女を好き放題抱けるように、有名になってやるぜ!!!


「はい、お名前はどうされますか?」


「ツグクで頼む。」


「では、ブロンズの冒険者として登録します。

 ギルドのランク付けは、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、ダイヤ、マスター、グランドマスター、ソブリンの順です。」


うわああ、ギルドのランク、多すぎだろ!


ソブリンまで上がるのにどれだけかかるんだよ!


「俺、レベル30なんだが、飛び級とかできないの?」


俺は交渉してみた。


受付嬢は驚きと疑いの目で俺を見る。


そら無理もない。


見た目はヒョロガリの若造。


レベル30なんて、王宮戦士長クラスだ。


屈強な男の見た目じゃなきゃ、おかしい。


「ほ、ほんとにレベル30!?」


やっぱり驚かれた。


「ああ、ほら。」


俺は受付嬢にスキルシートを見せた。


「申し訳ございませんでした!

 では、ゴールドまで飛び級いたします!

 飛び級はゴールドまでしかできないんです、すみません。」


やったね。


でも、ゴールドかあ。


実力的にはマスターくらいまでいってほしかったな。


まあ、実力を見せつけてどんどんランクが上がってけばいっか。


「じゃあさっそく、俺が受けれる中で一番難易度の高い依頼、頼むよ。」


「はい。オーク約20体の討伐があります。」


「じゃあ、それで!」


すると、声がした。


「ちょっと待ちな!

 その依頼、私たちも参加させてよ!」



==== 作者あとがき ====


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