MAGICALIZM

EnieLa

今は亡き彼女の夢

「□□□□」


花畑に”彼女”が立っている。

魔女のローブは着ていない。帽子も被っていない。

いつか見た、魔女ではない、女の子な”彼女”。


「□□□□」


夕焼け時。”彼女”の正面が影になっているが、”彼女”の顔がしっかり見えるほどにはまだ光がある。

風が吹く。彼女の綺麗な、サラサラとした茶色の髪の毛が揺らぐ。


「□□□□」


”彼女”の言葉は聞き取れない。だが、その顔はどこか穏やかで、優しくて──そして、懐かしい。


「□□□□」


”彼女”を最後に見たのあの日以来。

今でも思い出せる記憶の中の”彼女”と、目の前の”彼女”がリンクする。

私の目から涙が流れているのがわかる。


私を見て驚き、慌て、そして再度微笑む。

記憶の中の”彼女”も表情がコロコロ変わっていた。



──ルーラン、泣かないで。



最後の最後に聞こえた”彼女”の声は、その夢から覚めても耳にこびりついて離れなかった。

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