一年生編ラスト

 暗い部屋はすっかり明るくなっていた。

 

 小さいテーブルを5人が囲み、それぞれみんな顔を伺う。

 

 拓哉変わると心で決め、みんなの顔をちゃんと見る。それぞれみんなは心に伝えたいことを隠しながら黙る。

 

「私は、拓哉が好き」

 

 思い空気を換えたのはやはり早百合だった。

 

 早百合は真剣な眼差しで拓哉を見つめる。照れている様子はなく、ただ伝えたいことを言っている様子だった。

 

「でも、ちゃんと拓哉が決めて欲しい」

 

 早百合は強い声で言うが弱さも混じっていた。どうか私を選んで欲しいという気持ちを隠しながら。

 

 「分かった」

 

 拓哉は早百合の目をちゃんと見て言う。もう逃げないと思いながら。

 

「私も拓哉が好き」

 

 志保は何ともいえない顔で言う。一度告白をして振られている、だから可能性は少ないと理解している。だが、言わないと後悔すると知っているから言う。

 

「だけどね、私もちゃんと考えて欲しい誰が好きか、誰と一緒に居たいか」

 

 志保は強い声で言う。

 

「うん」

 

 拓哉はしっかりと志保の顔を見つめながら言う。

 

「私も、好きだよ」

 

 凜は照れてながら言う。最初は叶えることのできない恋だと思っていたが、誰にも渡さない気持ち強まり、今は叶えるために頑張っている。だから、逃げないために今ここで胸を張って言う。

 

「うん」

 

 拓哉は凜先輩の顔を見つめながら言う。

 

「私も好きだよ」

 

 琴音は、なんともいえない顔で言う。ただ、真実を伝えるため言う。

 

「うん」

 

 4人の告白を受けた拓哉は、緊張していた。この4人から好きな人ができるのか? 誰かを愛することはできるのか? 分からない、けど、これだけは分かる。

 

 もう、絶対に逃げないと。

 

 拓哉は立ち上がり、呟いた。

 

「今日はパーティーしないか?」

 

 久しぶりに笑う拓哉の笑顔は美しかった。人は笑っている顔が一番綺麗だとみんなに証明するくらい、綺麗な笑顔だった。

 

 今日は、みんなにご馳走をしたい。

 

「そうね」

 

 みんなは立ち上がり、拓哉の顔を見つめる。

 

 止まっていた時計が動き出す。そして、舞台は冬をまたぎ二年生編に移る。





 あとがき。

 何故二年生編に移るのかは次の話をお楽しみに。

 これにて、一年生編は終了です。

 拓哉の気持ちは変わりました。私も書いていてコイツ本当に主人公かって思いましたが、ちゃんと主人公です。

 二年生編に移る前に一年生編のまとめを投稿しようかなと思っています。

 最初からここまで読んでいる人は少ないと思います。ですが、ここまで時間を使って読んでいる人を楽しめる作品を絶対に書いてきます。

 次の話は今日のお昼に投稿します。

 では、二年生編で。

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