第40話昌景と再会
躑躅が崎館。
お館様の許しもあって、勝頼の謹慎が解けた。
「山県殿。」
「何でしょうか?勝頼殿。」
「女にうつつを抜かしてるようじゃ、赤備えも地に落ちるな。」
「っ。」
昌景は、怒りを堪えた。相手は、お館様のご子息であるからだ。
そうして、勝頼は嘲笑って去って行った。
「気にするな。昌景。」
「馬場。」
「夏希殿は、帰ってくるさ。お館様もそう信じておられる。」
「ああ。」
岐阜城。
「夏希!歩けるようになったじゃないか。」
「うん。」
「誠に嬉しい限りだ。」
「そんなに嬉しい?」
「当たり前だ。」
(信長の言葉が痛い。私は、別の男を思っている。)
「散歩でもするか。」
「私、帰らなくちゃ。」
「帰さないと言ったら?」
「えっ。」
「何でもない。送ってく。信玄坊主に怒られそうだからな。」
信長は、信玄を恐れている。信用もしてない。甲斐に行くのだって命懸けだ。
信長は、ひょいと、夏希を馬に乗せる。そして、鐙に足を乗せ、騎乗して馬を走らせる。
岐阜と信濃の境で、馬を止める。
昌景とドラミが夏希を探しに来てたのである。
「信長ーーーッ!」
昌景は、信長に刀を向ける。
「待って!昌景!信長は、命の恩人なの。」
事の次第を知った昌景は、刀を鞘に収めた。
「お迎えが来ているようだ。夏希。」
「うん。」
「じゃ。」
「待って!」
「何?」
「ありがとう。」
「ありがとうか、、、。愛してるの方が良い。」
信長は、そう言い残して、岐阜城へと帰って行った。
「まっ。」
昌景は、夏希をぎゅーと抱きしめる。
「心配かけんな。」
「ごめんね。昌景。私がドジ踏んだから。」
「もういいよ。無事だったんだから。」
『僕も心配したんだぞ!夏希ちゃん!』
「ごめんね。ドラミ。」
『ほら、乗って!』
「うん。」
「昌景、私が居なくて、寂しかった?」
「魂、抜けてた。」
「嘘!?」
「嘘。」
「もうっ。」
「お館様と馬場に元気な顔、見せるぞ。」
「うん。」
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