第29話信玄堤

躑躅が崎館。

「お館様。これを機に上杉謙信が関東管領になりました。」 

「うむ。高坂。」

「信玄!そんなこと無視していいわ。領地拡大を目的に!」

「そうか。夏希殿。」

「そのためには、兵力を増やさねば。」

「今、治水を行って、田畑が順調に行くようにしている。さすれば、民も戦に加わりくなりましょう。」

「信玄堤ね!」

「異世界では、わしの名前を使うのか?」

「そうよ。有名よ。」

「そうか。そうか。気分が良い。これから、わしの名前で呼ぼうぞ。」

「北条も東国を狙っている。私達もよ。」

「分かりました。武田守護神様。」

「信玄堤、見に行ってくるね!」

「はっはい。」

信玄は、たくましい夏希にしばし、驚いている。


「昌景!」

「夏希、先の戦、、、。」

「私、勘助のおっさんの分まで働くわ。」

「たくましくなったな。」

「何が?」

「いや、何でもない。」

「治水こと信玄堤見に行こう。」

「信玄堤!?」

「異世界では、そう呼ぶの!」

「まあよい。どれ、行くか。」


昌景と夏希は、馬を走らせた。


「これが、信玄堤ね!なかなかのハイテクノロジー!」

「はいてく?」

「凄いってこと。」

「そりゃそうさ。お館様が一心にやっておる事業だからな。」

「ねぇ。昌景。もし昌景が討ち死にしたら、私、後をおって切腹するわ。」

「バカヤロウ!俺が討ち死にするか!お前も軽々しく切腹するって言うな!」

「だって、昌景の右腕だもん!」

「なあ、お前、俺の右腕じゃなくて、俺の嫁さんに。」

「あっ。」


ドンッ! 


「痛い。」

「鮎だ!上手そう!昌景、獲れる?」

「獲れるけど、、、聞いちゃいねー。人の話しを。」

「なあにー!獲れるなら、獲ってー!」


昌景は、鮎を素手で二、三匹獲る。


「凄い!昌景!」

「当たり前だ!」

「私の世界では、そんな男、天然記念物だね。」

「公家みてーだな。食べるか?」

「うん!」


昌景は、火を起こし、鮎を木の枝で刺し、焼く。


「ほれ、できた。」

「ありがとう。美味しいー!」


「食ったか?」

「うん!」

「けぇーるぞ!」

「昌景は?」

「おめえが、全部食ったやんけ!」

「こりゃ失礼。」


昌景と夏希は、信玄堤をあとにした。







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