第28話再び、川中島

海津城が完成した。

 

「これより、川中島において、上杉謙信と相対峙する。」

「承知致しました。お館様。」

「勘助、此度はどう攻める?」

「再度、啄木鳥の戦法で攻めましょうぞ。」

「分かった。勘助。では、挑発隊に山県、本陣に馬場、昌豊、勘助、信繁、幸隆で行くぞ。」

「承知!」

「高坂は、海津城にて待機せよ。」

「承知致しました。」


武田軍は、海津城から川中島へ出陣した。

上杉謙信も出陣する。


「おかしいな。夏希。敵がこない。」

「うん。」


上杉謙信は、啄木鳥の戦法を見破ったのである。車懸りの陣で武田本隊に突撃した。今度は、武田軍が総崩れとなる。


「見破られた!夏希!本陣へ行くぞ!」

「分かったわ!」


山県隊が助太刀し、信玄のところまでは、突撃されなかった。

「お館様!撤退して下さい。我の失態。我が上杉謙信本陣の囮になりもうす!」

「勘助のおっさん!私も行くーッ!」

「昌景、夏希殿を頼む。」

「分かった。」

「嫌よ!勘助のおっさんーーーッ!」


山本勘助は、ニッと笑った。


「我は武田軍師、山本勘助なりーーー!いざ勝負!」

勘助は死闘のあげく、壮絶な最後を遂げた。


「お館様。山本勘助、討ち死に!」

「うむ。」

信玄は、悲しみを堪え、平然と返事をした。


「勘助のおっさん。私は、嫌です。うっ。」

「夏希、、、。」

昌景は、そっと、泣いている夏希を抱きしめる。


海津城。

「お館様。ご無事で何より。」

「高坂。勘助が討ち死にした。」

武士もののふ、悔いはないかと。」

高坂は、信玄の心情を知ってそのような言い方をした。

「信玄。謙信と川中島で合戦していては、領地拡大できません。他を攻めましょう。」

「承知しました。武田守護神様。」

夏希は、武田守護神としての自覚を勘助の死によって、持った。


「信玄。躑躅が崎館に参りましょう。」

「そうじゃの。」

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