第16話川中島へ出陣

夏希と昌景は、みはたたてなしの部屋へと戻った。

「昌景も戦術、教えてくれるんでしょ。」

「気が変わった。」

「えー!何で?昌景の嘘つき!」

「お前は、ドラミに守ってもらえ。」

「そんなの右腕じゃないじゃん!」

「いいんだ!お前が見ていると思うと、やる気がする。」

「何で?」

「何でももだ!」

「赤備えの心得って何?」

「常に初陣と思って戦に望むべし。」

「なるほど。」

「分かったならもう寝ろ!」

「言われなくても、寝るわよ!」


翌日。


「お館様。また便所ですか!」

「しーっ!高坂。今の内に皆をわしの屋敷に集合させい。」

「ハハッ!」


信玄が長い便所を済ませると皆は、信玄の屋敷に集合していた。夏希も。

「信玄!」

「おお。夏希殿。此度、川中島において、越後の上杉謙信を攻めようと思う。我が武田の領地、深志城、真田幸隆さなだゆきたかも含めて。」

「おお。遂に上杉謙信とご対面か。」

「お前如きが敵う相手じゃねーよ。」

「うるさいなぁ。昌景は。」


「して、勘助、何か妙案は。」

「啄木鳥の戦法じゃ。敵を挑発して背後から、襲うのじゃ。」

「それは、妙案じゃ。挑発部隊に山県隊。

背後はわしと弟の武田信繁たけだのぶしげ、馬場と高坂、勘助、それに真田幸隆じゃ。」

「承知致しました。」

「風林火山、、、。」

夏希は信玄を遮る。

怒号の男勝りの声で。

「疾きこと風の如く!静かなること林の如く!侵略すること火の如く!動かざること山の如しーーー!」

しーん。

「あれ?」

「オッオオオーーー!!」

「夏希殿、元気がよくて、何よりだ。」

「信玄のもっとーだもん!毘沙門天に劣るのは、許せない!」

「そうか。そうか。夏希殿。」


そうして、武田軍は越後の川中島へと出陣した。


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