第15話昌景の右腕

「馬場ちゃん。」

「夏希殿。やるか?」

「うん!」

「そうこなくっちゃ!」

夏希は、馬場と剣の鍛錬。

「夏希殿、才能あるな。」

「本当?」

「うん。まだまだだが、初心者にしては、よろしいな。」

「馬場ちゃん!ありがとう!」


カッカッ!


ズサーーー!


「夏希殿の首を討ち取ったり!」

「クソッ!」

「その負けん気の強さ、とても良い。」

「だって、赤備えに入りたいんだもん!」

「入れることを祈る。」


「夏希!何をやってるんだ?」

「昌景、帰ってきたの?」

「ああ。」

「ちょうどいい。昌景。お手合わせを。昌景から一本取ったら、昌景の右腕にしてくれる?」

「取れるわけねーだろ!」

「やってみないと分からないじゃない。」

「まあ、付き合うか。馬場と訓練してたよーだし。どれ。」

「お手合わせ、お願いします。」

「承知。」


カッカッ。


「お前、いい味、出してんじゃん。でも甘い。」


ズサーーー!


「夏希、死亡。」

「まだまだー!」

「おっ?まだやる気か?」

「昌景、愛してるーーー!」

「えっ!?」

「隙あり!」

夏希は、昌景の足を峰打ちし、昌景を地面に叩きつけ、昌景の体をまたぎ、刀を昌景の喉元へと向けた。

「昌景の首、討ち取ったりー!」

「お前、卑怯だぞ!」

「武士たる者、何事にも動せず。」

「そんなあ。」

「赤備え、昌景の右腕にしてくれる?」

「うーん。」

「武士に二言は、無し!」

「しょうがねーな。」

「やったーーー!馬場ちゃん、ありがとう!」

「良かったですな。夏希殿。」


「昌景は、何をやっておる?高坂。」

「さあ。お館様。」

「昌豊は知ってるかね?」

「夏希殿と何やら、、、。」

「そうか。高坂、昌豊、昌景はおらんが、昌景、落城の知らせを早馬にて聞いたぞ。手柄であった。さっそく、首実検を。」

「高梨政頼の首でございます。」

高坂が差し出した。

「ほう。立派な敵将の首じゃ。」

信玄は、満足そうだ。

「そなたらの働き、しかと受け取った。これからもよろしく頼むぞ。」

「承知しました。」

信玄は、夏希の元へと行った。

「信玄!」

「夏希殿。」

「私、昌景の右腕になったの!」

「守護神様。そのような、、、。」

「いいの!信玄!」

「そっそうか。夏希殿は頼もしいのう。」

「お館様。すみません。遅れました。」

「よい。ご苦労であった。昌景。これからも先人、よろしく頼むぞ。」

「承知しました。お館様。」

信玄は、屋敷へと帰って行った。

「城攻め、成功したの?」

「ああ。成功したさ。」

「おめでとう。」

「あんがと。」

「武田四天王って最高ね!」

「誰のことだ?」

「山県昌景!内藤昌豊!高坂昌信!馬場信房!」

「へえー。」

「ちょっとは、喜んでよ!」

「俺は、気になることがある。」

「何?」

「お前のさっきのセリフ。いや、何でもない。」

「愛してるって、言ったこと?」

「本気?」

「じょっ冗談よ!」

夏希は慌てる。

「卑怯だな。」

昌景は、無表情。

「さっ。みはたたてなしの部屋に戻ろ。昌景も来るんでしょ。私の世話役。」

夏希は、昌景の卑怯という言葉から逃げた。

「ああ。」







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