第10話雨宿り

二人は馬を用意し、黒川金山へと出発した。

「ドラミ。よろしくね。」

『うん!』

「昌景、なんか言った?」

「なんも言ってねーよ。」

『僕だよ。ドラミ。夏希ちゃん。』

「ドラミ!?」

『うん!』

「うれしい!ドラミとお話しできるなんて!」

『僕もうれしい!』

「何、独り言、言ってんの?」

「ドラミと会話してたの。」

「ドラミ、黙ったままだぜ。」 

『夏希ちゃんとしかお話し出来ない。』

「そうなんだ。ドラミ。」

「?」

「フフッ。アハハ。嬉しい!」

「不思議な奴だぜ。お前は。」

「ドラミ、昌景、嫌いだって。」

「何でだドラミ!」

しーん。

「シカとか!?」

「行こう!昌景!」

「あっああ。」

昌景と夏希は、一刻ほど馬を走らせた。雲行きが怪しくなっていく。

「ちっ雨だな。」

『夏希ちゃん!こっち!』

「ドラミ?」

ドラミは、誰も使っていない小屋へと向かった。

「ドラミ。ありがとう!昌景、雨宿りしよう。」

「ああ。ドラミのおかげだ。」

馬が入れる程のちょうどいい古びた山奥にある小屋。

昌景達は、その小屋で雨宿りをする。

「なあ。夏希。お前の世界の俺ってどんな奴だった?」

「さては、恐ろしきは山県昌景なり!と、天下を取った徳川家康に言わせたのよ。」

「あのこわっぱが天下を取った!?」

「そうよ。油断大敵よ!でも私がいる限りには、、、。」

「いる限りには?」

昌景は、夏希の側へとよる。

「ちょっと、、、。近い。」

昌景はじーと夏希を見つめる。

「お前がいる限り、俺は天下に名を轟かせる。」

(キスされるかと思った。期待したのバレちゃったよね、、、。いやあ!私は昌景に惚れてない!)


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