第6話ドラミ、活躍

「行くぞ!夏希!」

「はっはい!昌景!」

赤で統一した赤備え部隊三千騎。信濃国、高梨城へと出発した。

「私、まだ死にたくないーッ!行きたくない!」

「何を今さら。俺が死なせやしねーよ!」

山道を行群で歩いて行く。

「高梨政頼様。赤備えの山県隊がこちらに向かって来ておりまする。」

「甘く見られたな。山県隊だけで、この城を落とせるわけがない。そちが出迎えてやれ。」

「承知しましたでございまする。」

「あ~あ。腹減った。」

「休憩するか。」

「うん!」

「栗だ。」

「栗だけ?」

「そうだが?」

「きしめんが食いたいーッ!」

「そんなもん、戦で食えるか!」

「腹が減っては、戦は出来ぬ!」

「いいから、栗を食え!」

昌景は、強引に栗を夏希の口元へと運んだ。指が夏希の唇に触れてしまった。


ドキッ。


「すまぬ。」

「いっいえ。」

(私、惚れてしまった!?いや、そんなことはない。)


「皆の者!行くぞ!」

「オオーーーッ!」

その行群は鬼のように感じる。


「山県隊だーッ!出撃じゃーッ!」

野戦が始まる。

山県昌景は、刀を振り、次々と敵を倒し、首を討ち取っていく。敵がその猛将振りにおののく。

「キャーーーッ!」

一人の敵の武将が夏希に襲いかかる。

「夏希ーーーッ!」

するとドラミが敵武将を思いっ切り踏んづけけた。圧死。

「ありがとう。ドラミ。」

先ほどの気性とは裏腹に暖かいドラミ。

「大丈夫か?夏希!」

「うん。ドラミのおかげで。」

「良かった。」

「ギャーーーッ!矢がっ!」

昌景が夏希に向かって来た矢を刀で弾き飛ばした。

「こっ怖かった。死ぬかと思った。」

「もう大丈夫だ。全軍、引けーーーッ!」

「オオーーーッ!」

「私、まだ首取ってない。」

「俺の一つ渡す。」

「私が取ったわけじゃないのに、いいの?」

「いいんだ。気持ち悪い首を一個もつのがやっとだろう!」

(うっ。図星。)

「でも、このまま行けるんじゃない?」

「今回の戦は、首が目的だからいいんだよ!」

昌景達の一行は、帰路についた。

「政頼様。山県隊は、おののいて、兵を退きました!」

「赤備え、大したことないな。ハハハッ!」




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