第6話

すると緑のスリッパをはいた人がやってきた。先輩だ。

「あ、あの!彩瀬っていますか…?」

「え?さっきまでここにいたはずだけど…帰っちゃったのかなぁ。」

「そう、ですか。」

「ごめんねぇ、せっかく来てもらったのに。何か伝えたいことあったら言っておくよ。」

「あ、大丈夫です。すみません。ありがとうございます。」

「そう。じゃあ気をつけて帰ってね。」

なんでいなくなったんだろう。僕は不思議に思いながら帰路についた。


翌日、彩瀬は学校に来なかった。クラスの人の話を盗み聞きしたところ風邪らしい。聞きたいことがたくさんあるのに。僕には珍しく早く治らないかななんて思いながら一週間を過ごした。


翌週になると彩瀬は元気になっていた。いつも通り太陽みたいに明るく、良く喋る。病み上がりだなんて嘘みたいだった。

忘れていたが、彩瀬は人気者だ。休み時間に一人でいるのを見たことがない。だからこの日僕は話しかけるタイミングを見失っていた。気づけば授業は全て終了し、放課後になっていた。放課後だって彩瀬はたくさんの人に囲まれてる。今日は無理だと諦め、当番であるゴミ捨てに向かった。


「ゴミが多いな。先週の人ゴミ出し行ってないだろ。」

文句を垂れながらゴミ袋にゴミを入れる。

するとゴミ袋の隣にある小道からピチャピチャという音が聞こえた。

「水の音…?最近は雨が降っていなかったし、なんの音だ?」

気になって小道を覗いた。

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