第2話 出会いは突然

自転車の鍵を開け、学校に向けて漕ぎ始めた。中学の頃とは違う道だが、不思議と違和感はない。あの頃の道のりよりもずっといい。進んでいるうちに河川敷が見え、そこには桜が並んで咲いていた。桜の花びらが舞い散る姿が実に美しく、儚かった。

桜並木を眺める中、河川敷のベンチに座っている男がいた。


ミルクティーのような髪色、エメラルドが入れられているかのような綺麗な瞳をしていた。テレビに出てくる俳優でもかっこいいとは想わなかった私でも、彼はかっこいいというに相応しい人だ。正確にいえば美しいが正解だ。

「…あれ、私と同じ学校の制服だ。」

私は彼の制服をどう判断したのは学校見学会で見たことあったからだ。まぁ、同じ学校だからってなんだって話だ。特に何も感じなかった。


そろそろ学校の方に向かったほうがいいと思い、自転車を動かした。まだ彼のことが頭に残っている。別にそういう感情はないが、何かモヤモヤする。

「…なんで、あんなに寂しそうな顔をして川を見つめていたんだろう…」

そんなことを考えながら、河川敷を通り過ぎた。私は知らなかった。彼の考えていたこと。私が河川敷にいたことを。


そしてやっと学校に着いた。外に貼り出されている名簿表でクラスと番号をを確認して、教室に入った。慣れない雰囲気に少し緊張した。喋っている女の子は中学からの知り合いだろうか。もう友達を作ったのか少しだけグループが作られていた。

その様子を見ながら自分の席に座った。話しかけたりしないのかだって?そもそも友達を作ろうと思ってない。一人で静かに過ごしたいと思っているから。

(今日は何事もなく終わればいいけど…)


ガラガラガラガラ…

そんなことを考えていた矢先、チャイムが鳴る5分前、扉から見たことある少年が入ってきた。




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