幸せは涙の後で

@hukuku

第1話 いってきます

―君と一緒に……―

暖かい春。私の耳元で聞きたくもないアラームが鳴り、

「はるちゃーん、そろそろ起きなさーい。」

遠くから聞こえるお母さんの声が入り、意識を朦朧としながらカーテンを開けた。

良い天気とは言えないほどの曇天の空を見て、部屋を出た。

「おはよう。冷めないうちに食べちゃいな。」

「おはよう。」

お母さんに挨拶をして、テーブルにはご飯に味噌汁という何一つ珍しくもないいつもの朝食が並べていた。

「今日から入学式ね〜。お母さん一緒に行かなくて大丈夫なの?変な人に捕まらないか心配だわ。」

「その話何回目なの?いい加減その親バカ発言やめて欲しいんだけど。」

呆れた顔で見ながら、ご飯を頬張った。

「入学式なのにこの天気は嫌ね〜。一応傘持ってきなさい。」

「分かったよ。」

確かに行事を大切にする人にとっては気にするかもしれないが、私はそんなことなんて気にしない。どうでもいいんだ。

ご飯を食べ終わり、身支度を済ませてもう扉を開ける手前だ。

「お母さん仕事で行けないけど大丈夫?やっぱり休んででもいったほうが・・・」

「もう大丈夫だから!!……いってきます。」

「……いってらっしゃい。」

お母さんは微笑んだ。そして私は玄関に置いてある写真を見つめ、

「いってきます、お父さん。」

私はお父さんの写真に挨拶して、学校に向かった。

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