第7話

「セイ? え、ちょっ……と。待って!」



困惑する由貴さんを尻目に、私は由貴さんのズボンと下着を脱がせた。


それはいつも由貴さんが私にしてくることだった。



「嫌……ですか?」


「え、どこまで、何をするつもりかによるかな……。判断材料として、聞いても良い?」


「……はい。えっと、概ね、今まで由貴さんが私にして来たみたいに、一方的に触って気持ち良くさせる的な……、事ですね。今日は、由貴さんが気持ち良くなって下さい」


「えっ!!」



ズボンと下着を脱がせ終わったので、晴れて由貴さんの全裸に到達した私は、颯爽と由貴さんのおへそに口づけたのだが、由貴さんが両手でそこをおしのけた。



「ちょ、ちょっと、待って落ち着いて」


「え、私、冷静です」



私の言葉に、由貴さんは驚愕した。



「いや、冷静でも、ちょっと待って」


「……はい」



待てと言われれば、待つ。


どれくらい待ったら良いのかな。


それにしても、私も由貴さんを脱がすのが早くなったもんだって。


上着は由貴さんが自分で脱いだんだったと思考を巡らせていると。



由貴さんは、ベッドの毛布を私に被せた。



「風邪引くといけないから」


「……そうですね」



私はおとなしく毛布を被って、由貴さんの胸に頬を寄せた。



「由貴さんの身体、気持ち良いです。丁度良い体温で……。やっぱ、いつも、ほんのりバラの香りがする」



由貴さんは、キョトンとして自分の肩の匂いを嗅いだ。




「気の性じゃない?」


「違いますよ。しますよ。由貴さんは、基本、バニラっぽい甘くて良い匂いが」



由貴さんは私を抱き寄せて、肩にキスをした。



「ほんのちょっとだけ……で良いんだ。セイを、ただ近くに感じられたらそれで。でも、何か、変なスイッチが入りそうかも」


「それ、入れてみたいかも」


「お願い。セイは何もしないで」


「……酷い」


「いや、ごめん」



由貴さんが不意に態勢を変えて、手の平が唇をかすめ、私の唇のすぐ傍に来た。


由貴さんの手の平に唇を寄せると愛おしくなって唇で軽くついばむと由貴さんは私に顔をしかめた。



「う”~。セイ……、ごめん。煽らないでって」


「煽りました?」



私が不満そうに唇を尖らせると、由貴さんは私の頭を撫でて言った。



「俺をケモノにするつもり?」


「いいえ。でも、私はもっと、由貴さんにしたい」



私は毛布を被ったままだし、禁じられている訳でもないので、再度、由貴さんのおへやのあたりにもぐり込んで、由貴さんのからだにキスをしてみた。



「あっ、やっ、だから、やめて」


「由貴さんだって、私に散々して来たじゃないですか? 由貴さん。じっとしてて……」



私の言葉に、由貴さんは観念した様で、おとなしくなった。


私は、毛布の中で由貴さんが、私に触れられて、気持良くなる所を探す旅に出た。



太腿の内側やふくらはぎ、足の爪先まで探し求めて。


「……セイ。俺、絶賛、自分のカラダにこんなに触られてくすぐったいところがあるなんて知らなかったよ」


由貴さんの未知の発見に導く事に成功したみたいだ。


「それって、嬉しいことですか?」


「う〜ん。寧ろ、楽しいに近いかな」


「楽しいならOKですよね」



私が、毛布から顔を出して由貴さんを見つめると、由貴さんは私に笑いかけた。


そして、私は調子に乗った。




……。



「あっ、っ、セイ。……も、ダ、メ…」


「ダメです。我慢しないで……。大丈夫ですから。本当はもっと、早くしてあげたら良かったって。……私、今、後悔してます」



息を上げて悶る由貴さん。


私は両手に力を込めた。



「あっ、……んっ。……そ、そこ。えっ、何で……、俺の気持ち良いところ分かるの。 あっ――――――。良い! 嘘みたいに気持ちイイ。そこだよ! もっと……セイ。そこ、イイっ」


堪えきれず、恍惚の表情を浮かべる由貴さんは綺麗だった。


わ、私、由貴さんに絶賛されてる!!


それにしても、だ。

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