第5話
「慶子ちゃん!! 慶子ちゃん!」
急いで家に帰って、見上げた時計はギリギリ夜10時前だった。
私は風呂上がりの妹を連れて、妹の友達の慶子ちゃん家に向かった。
お土産の高級和牛の500グラムを手に。
「どうしたの? 由紀ちゃんに、亜希おねえちゃん」
「あのね、これさっき貰ったの。お裾分け。お肉色味が変わる寸前で明日食べる頃には多分変色していると思うけど良かったら」
「うわぁっ!! お肉ぅうう!! お母さん、わうしって何? すき焼き、すき焼きぃいい!! ネギも、お豆腐も、生しいたけもぉおお!」
これで、良いんだ。
この食材だけでも今日のバイト代分あった。
(他にも海老やら、魚やら持って帰った)
当面新しい職の当てもない、この新しいバイトで頑張ろう。
そう思いながら、妹の由紀の手を引いて私は家路に着いた。
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