第2話

「少し考えさせてくれませんか?」


「何をだ?」


「えっ、ここで雇っていただくか? ですけど?」


「雇うと言った。雇われろ。飯は19時だ」


「えっ!!」


「急げ!! 飯は昼以外は炊き立てを出す事。後、そこの紙にお前が出勤しない日の食事の献立が書いてある。被らない様に作れ」


「え、あの」


「聞こえなかったのか、作れと言っている」


「聞こえてます」



何だか言いくるめられたと言うか。


相手にして貰えなかったと言うか。


仕方なく、言われた通り夕食づくりに取り掛かる。



えっと、昨夜が、肉じゃが、サバの塩焼き


ほうれん草のお浸し、シイタケと豆腐の味噌汁。



その前が、炊き込みご飯に豚汁にたことわかめの酢の物、カツオのたたき、ポテトサラダ。



1汁3菜か……。



うちは、一食おかず1品の家庭だから。


肉じゃがの日は肉じゃがだけ。


炊き込みご飯の時は、お吸い物だけが基本だ。


しかし、今日までバイトをして来た弁当屋では


賄いで出される夕食がそうだったので馴染みがある。



と言うか、最初にそれを目にした時のカルチャーショックは半端なかった。



例えば、カレーの日だ。


我が家でカレーと言えば、大鍋に入ったカレーを、自分てご飯の上によそって食べるものだった。



しかし、この1汁3菜家庭に至っては、カレーはサラダ、ソーセージなどの肉を盛ったプレートが別に用意されており、尚且つ、それにコンソメスープが付いて来る日もあった。



まさに、恐るべし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る