第13話

「怖くて、声も出ねえか。漏らすなよ、汚したら、口で掃除させっからな」




男がズボンのベルトを片手で外し、ズボンを下そうと両手を使った。




必然、片方だけ私の腕は自由の身に。




『バァ~カ』



心の中で、ガッツポーズした。





肩腕だけ自由に動く。




「見てねえで、媚びろよ。優しくしてク・ダ・サ・イって……へへっ」




下卑な笑いを浮かべる男。


低能を加減を超すと存在が憐れになってくる。





自由になった腕で、スカートの裾裏に縫い込んでいた剃刀を取り出した。




「お前ら、一応ニンゲンな訳?」



私は言った。



「「「は?」」」



きょとんとする男達を尻目に、腕を振り上げる。


人を切り裂くのに躊躇いはない。



私は知っている。



人を傷付ける、加減と覚悟を。





目潰し程度、顔面の皮膚を切り裂く。


血だらけになりながら顔を両手で抑える男達。



視界を血に染めて、痛みにのたうち、ヒーヒー言っているのが滑稽だった。




「人間みたいに赤い血流してんなら、もう少し人間らしい生き方しなよ」




残るは運転席と助手席の見張りだけ。




カラダは自由に動く。



やってやろうじゃん。



私は悦に入った。

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